JavaScriptフレームワーク、Node.jsを徹底解説
JavaScriptで開発されているフレームワークにnode.jsがあります。近年、需要が高まっているフレームワークで、名称を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
JavaScriptフレームワークの中でも独特な特徴を持つものではありますが、具体的に特徴やできることは知られていない状況です。今回はバックエンド開発に多用されるnode.jsとはどのようなJavaScriptフレームワークであるのか解説します。
Node.jsとは?
最初にnode.jsがどのようなJavaScriptフレームワークであるのか理解を深めていきましょう。
Node.jsとは
一般的にJavaScriptといえば、WebサイトやWebアプリケーションのブラウザサイドで動作します。アクティブな動きを実装するために利用される言語で、大半のエンジニアがそのように認識しているはずです。
しかし、node.jsは一般的な利用方法ではなく、JavaScriptをサーバーサイドで動作させます。今までJavaScriptをサーバーサイドで動作させることはできませんでしたが、node.jsの登場によって世界が大きく変化したのです。
ただ、サーバーサイドで動作するようになったものの、求められることはブラウザサイドと大きく異なります。ブラウザサイドはポップアップの表示やフォームの送信などですが、サーバーサイドは主に通信関連です。今までブラウザサイトで実装していたものをサーバーサイドに移行させるものではないため、その点は認識しておきましょう。
Node.jsの特徴
node.jsの大きな特徴は、繰り返しですがJavaScriptがサーバーサイドで動作することです。今までは実現できなかったことが容易に実現できるようになったため、node.js最大の特徴といっても過言ではありません。
Node.jsのメリット、デメリット
node.jsのメリットは多岐にわたりますが、例えば以下が挙げられます。
- 大量アクセスを処理可能
- npmでパッケージ管理できる
- Voltaでのバージョンもできる
node.jsはノンブロッキングI/Oに対応しているため、大量アクセスに対応しやすくなっています。なおかつ大量のアクセスでもリアルタイムで処理できるため、処理の遅延が許されないシステムで利用可能です。
また、npmと呼ばれるパッケージ管理ツールやVoltaと呼ばれるバージョン管理ツールを適用できます。どちらもJavaScriptのフレームワークを効率よく管理するためのツールで、これらとnode.jsを組み合わせることでnode.jsを運用しやすくなるのです。
また、node.jsにはデメリットがあり、例えば以下が挙げられます。
- 対応できるサーバに制約がある
- 重たいイベント処理には適していない
node.jsはどのようなサーバでも利用できるのではなく、条件を満たしたサーバでのみ利用できます。そのため、手元にサーバがあるからといって、すぐにnode.jsが利用できるとは限りません。状況によっては仮想サーバを構築する必要があるでしょう。
また、node.jsはその仕様から重たいイベント処理には適していません。同時に重たいイベントが発生すると、処理しきれずにサーバが停止するリスクがあります。
Node.jsでつくれるもの
node.jsでは大きく分けて以下3種類のものが開発できます。
- Webアプリ
- Webサーバ
- クラウド制御のアプリ
サーバサイドのJavaScriptフレームワークではありますが、WebアプリもWebサーバも開発できます。一般的にはWebサーバなどバックエンド開発に利用されますが、Webアプリケーションにも対応可能です。なお、node.jsでWebアプリケーションを開発する際はExpressと呼ばれるフレームワークと組み合わせるケースが多く見受けられます。
また、インフラ関連の制御を得意としているため、クラウド環境で各種制御アプリケーションが開発されることがあります。例えば、クラウドで通信機器やIoT機器の制御アプリケーションを実装する際にnode.jsが利用されるのです。
他のJavaScriptフレームワークと徹底比較
node.jsが他のJavaScriptフレームワークとどのように違うのか比較してみます。
JavaScriptのフレームワーク一覧
JavaScriptのフレームワークにはいくつもの種類がありますが、具体例を挙げると以下のとおりです。
- Angular.
- React.
- jQuery.
- Vue.js.
- Riot.js.
- Backbone.js.
- Hyperapp.
- Ember.js.
これらは一例であり、非常に多くのJavaScriptフレームワークが存在しています。
サーバサイドのJavaScript実行環境
上記ではいくつものJavaScriptフレームワークをご紹介しましたが、これらの中でもサーバサイドの実行環境があるのはnode.jsだけです。上記に紹介したもの以外を含めて、すべてのJavaScriptフレームワークでnode.jsだけが対応しています。
なお、node.jsは制約こそあるものの、WindowsやMacOSなどのサーバから、Dockerなどの仮想環境でも対応可能です。node.js以外は環境を問わずサーバサイドでは実行できません。
「C10K問題」を解決できる
Webサーバの世界にはサーバもアプリケーションも問題ない状態で通信が遅くなる「C10K問題」と呼ばれるものがあります。同時アクセス数が増加することによって、レスポンスが極端に遅くなってしまうものです。
この問題はWebアプリケーションやネットワークの仕様に依存するもので、解決しにくい問題と考えられています。ただ、JavaScriptフレームワークの中でもnode.jsを導入すれば、サーバサイドでの処理が工夫され、この問題を解決できるのです。
なお、今まではC10K問題を解決するために「サーバの台数を増やす」「スレッドの処理方法を見直す」などの手法が採用されてきました。node.jsは同じサーバの台数でも後者のような処理の仕組みを見直すことで、問題を解決しています。
IoT関連の開発
node.jsはIoTなど細かな通信が大量に発生する分野の開発にも利用されています。サーバサイドで処理を効率化できるJavaScriptフレームワークであるため、細かな通信が頻発するIoTの世界に適しているのです。
ただ、「通信の制御」という観点においてはnode.js以外にもPythonなどサーバサイドの言語が存在しています。JavaScriptフレームワークで比較するとnode.jsのみが活躍する分野ですが、他のプログラミング言語まで比較すると競合が存在する分野です。
Node.jsを学ぶ意義
node.jsを学ぶ意義はどこにあるのかも考えてみましょう。
人材の希少性
node.jsはJavaScriptをサーバサイドで実行できるという特殊なフレームワークです。需要は年々高まっていて、対応できる人材の希少性も高まっています。エンジニア数が増えているとは思われますが、需要の高まりには追いついていません。
希少性の高いスキルを保有しているエンジニアは、それだけ活躍の幅を広げられます。以下でご説明しますが、node.jsは希少性が高く将来性も明るい分野です。エンジニアとして長く活躍するために学ぶ意義があります。
学習の難易度
JavaScriptはそもそも理解しやすく難易度の低いプログラミング言語に分類されます。ただ、node.jsについては少々難易度が高いため注意しなければなりません。
まず、node.jsは開発環境を構築するためにサーバーを用意しなければなりません。一般的なJavaScriptはエディターとブラウザさえあれば良いですが、node.jsではサーバーが必須です。このサーバー構築の難易度が少々高く、学習難易度を高める要因となっています。
また、JavaScriptで通信を定義する際は、オブジェクトやコールバックの処理を細かく意識しなければなりません。プログラミング言語によっては裏側で自動的に処理してくれることもあり、細かい理解が必要になると、それだけ難易度が高まってしまいます。
他にも、node.jsは活用にあたっていくつものライブラリーを併用しなければなりません。node.jsとは別にライブラリの知識も必要となるため、そのような観点でも学習難易度が高まります。
年収
JavaScriptに関連する案件の中でもnode.jsは特に需要が高まっています。ただ、需要の高まりに対してエンジニアの供給は追いついていないため、年収が高まっている状況です。JavaScriptエンジニアならば、年収面でnode.jsを習得する価値があるといえます。
また、上記でも触れたとおりnode.jsは学習難易度の高いJavaScriptフレームワークです。エンジニアとして高いレベルが要求されるため、そのような観点でも提示される年収が高まっています。習得には負担がかかるものの、その頑張りが年収に反映されると考えればよいのです。
求人件数
求人件数はここ数年で増加している傾向にあります。node.jsは5年ほど前にブームとなり一気に需要が高まりましたが、そこからもじわじわ需要が高まっているのです。
理由はいくつもあると考えられますが、例えば知名度の向上があるでしょう。世界的にnode.jsが利用される時代となっているため、日本でも新しく採用する企業が増えているのです。新規採用が増えれば、それだけ需要も高まります。
また、システムの入れ替え時期に差し掛かっていることもあるでしょう。システムの寿命は5年から10年といわれ、寿命を迎えるタイミングで大きく改修します。すでにnode.jsを導入している企業がシステムを改修することで、エンジニアの需要が高まるのです。
将来性
現時点でJavaScriptをサーバーサイドで動かす技術はnode.jsしかありません。今後すぐに、node.jsに取って代わる技術が生み出される可能性は低く、将来性が明るいといってよいでしょう。繰り返しですが今度は需要がさらに高まり、エンジニアとしての価値が高まっていくはずです。
ただ、バックエンドを開発する方法はJavaScriptだけではなく、PythonなどのWeb系言語も利用されます。これらのプログラミング言語はnode.jsの競合になるため、その点は注意しなければなりません。他のプログラミング言語が驚異的に発達すると、node.jsの将来性に影響する可能性があります。
JavaScriptでも特異な存在であるNode.js
node.jsがJavaScriptで開発されているフレームワークの中でも、特異な存在であることは間違いありません。エンジニアの常識として「JavaScriptはブラウザサイドで利用するもの」というものがあり、この常識をぶち壊すものだからです。
このような特異な存在のフレームワークは、一時的なトレンドですぐに衰退することもあります。しかし、現時点でnode.jsは非常に人気のフレームワークであり、定期的な開発も続いている状態です。これからも開発が続くと考えられ、近い将来、開発が終了することはないでしょう。
これからnode.jsがどのような発展を遂げるかは誰にも分かりません。JavaScriptフレームワークの中では特異であることを踏まえて、定期的にウォッチしておくのが良いでしょう。
まとめ
JavaScriptフレームワークであるnode.jsについて解説しました。一般的にJavascriptはブラウザサイドで動作するプログラミング言語ですが、node.jsはサーバーサイドで動作します。今までの常識を覆すもので、注目しておきたいサーバー技術です。
サーバーサイドであり基本的にはバックエンド開発に利用されます。他のプログラミング言語でも実装できますが、同時に大量のアクセスを処理できるなど、node.js独自の特徴があるからです。
バックエンド開発にはJavaScriptではなく他のプログラミング言語も多用されます。node.jsの価値は今後のトレンドによって変化する可能性があるため、注視しておきましょう。