JavaScriptフレームワークの選び方。メリット・デメリットの比較をふまえて解説!
JavaScriptのフレームワークには多くの種類があります。用途に応じて様々なものが開発されています。
種類が非常に多くなっていますので、初心者はどれを選べば良いのか判断が難しい状況です。今回はJavaScriptフレームワークを選ぶ際のポイントを解説し、それを踏まえてどれを選択するべきか比較できるようにご紹介します。
JavaScriptフレームワークの概要
最初に復習としてJavaScriptフレームワークについて理解をしましょう。理解できている自信がある人も、念のために確認をしていきましょう。
フレームワークとは
フレームワークとは、システムを開発するために必要となる機能を集約したアプリケーションのことです。これを利用することで、アプリケーション開発を簡略化できます。最低限の機能が用意されていますので、必要な部分だけを追加で開発すれば良いのです。
最低限の機能は選択するフレームワークにより異なります。例えば「データベース接続」「数値計算処理」「画面遷移」が挙げられます。これらは一例であり、フレームワークでは多くの機能が提供されています。
これらの機能は多くのシステムで必要とされるものです。つまり、一度機能を開発しておけば、ある程度は使い回しができます。この使い回しができるようにした仕組みをフレームワークと呼んでいます。
JavaScriptフレームワークとは、フレームワークの開発言語にJavaScriptを利用しているものです。厳密にはJavaScript以外にもHTMLやCSSを利用したりしますが、メインがJavaScriptのフレームワークです。
ライブラリとの違い
JavaScriptにはフレームワークの他にライブラリと呼ばれるものもあります。これらは同じように考えられることもありますが、実際には異なった性質を持ちます。
ライブラリとはフレームワークのように直接利用するものではなく、ソースコードだけを利用するものです。汎用性の高いソースコードがまとめられているものだと考えましょう。利用する際はソースコードを参照したりコピーアンドペーストして利用します。
JavaScriptフレームワークを選ぶ4つのポイント
JavaScriptフレームワークを選択する際は、以下4つのポイントに注目します。
- 必要な機能の有無
- トレンド
- 学習コスト
- JavaScriptの記述ルール
具体的にどのように注目すれば良いのかを続けてご説明します。
必要な機能の有無
最も重要なことは、JavaScriptフレームワークに必要な機能が含まれているかどうかです。必要な機能が含まれていなければ、フレームワークを利用するメリットが半減してしまいます。
理想のフレームワークは、求める機能が全て揃っているものです。もしそのようなフレームワークが見つかれば、開発工数を大幅に削減できます。フレームワークのメリットを存分に受けられるのです。
ただ、必ずしもそのようなフレームワークが見つかるわけではありません。そのような時に備えて、フレームワークに求める機能の優先順位はつけておきましょう。JavaScriptでの開発難易度などを踏まえ、優先順位をつけておくことがおすすめです。優先順位をより満たせるフレームワークを選択します。
なお、必要な機能が全て揃う代わりに必要のない機能も多い場合は注意が必要です。このようなJavaScriptフレームワークを利用すると、無駄に動作が重くなる可能性があります。可能な限り必要最低限の機能が揃うフレームワーク選びがポイントです。
トレンド
JavaScriptフレームワークにはトレンドがありますので、これに沿ったものを選ぶことがポイントです。
時代の流れによってトレンドのJavaScriptフレームワークには変化があります。過去に人気があったJavaScriptフレームワークでも、廃れてしまうことが十分にあり得ます。過去の人気にとらわれることなく、常にトレンドを意識することがポイントです。
トレンドを意識してJavaScriptフレームワークを選ぶことで、「高いセキュリティ」「高機能」などの特徴を持つものと出会いやすくなります。最終リリース日が半年以内のものも多く、先端の技術が取り入れられていることも多々あります。
また、人気のフレームワークを利用することで、最新の情報を得やすくなります。コミュニティが活発であったり、個人がSNSなどで情報を発信しているからです。トレンドに注目して、時代に沿ったものを選択することがポイントです。
学習コスト
JavaScriptフレームワークを利用するにあたり、どの程度の学習コストが必要かもポイントです。学習コストとは、使いこなすために必要な時間や期間を指します。
学習コストの高いJavaScriptフレームワークの場合、利用開始までに時間がかかります。フレームワークの利用は開発をスムーズにするためですが、学習コストが高いとこのメリットが薄れてしまうのです。一度学習してしまえば長く利用できる知識となりますが、即効性の観点では学習コストを意識する必要があります。
新しくフレームワークを利用して開発する場合、学習コストは低いものを選択するべきです。簡単な学習でスムーズに導入できるものが理想的です。
ただ、JavaScriptフレームワークを選択し開発してもらう立場の場合、必ずしも学習コストを意識する必要はありません。有名なフレームワークであれば、既に学習の完了しているエンジニアが多数存在します。そのような人に仕事を依頼することで、学習コストは無視できます。
JavaScriptの記述ルール
JavaScriptの記述ルールも重要です。このルールによって、フレームワークの種類が分類されるぐらいです。
JavaScriptフレームワークにおいて、記述ルールは以下の3種類あります。
- JavaScriptとHTMLを別々に記述する
- JavaScript内にHTMLを記述する
- HTML内にJavaScriptを記述する
どれに該当するかによって、開発するエンジニアの負担が異なります。記述ルールがあまりに違うフレームワークを利用してしまうと、開発に支障が出ることもあります。どれが良いとは一概に言えませんので、エンジニアなどの意見を踏まえ比較することがポイントです。
おすすめのJavaScriptフレームワーク4選
JavaScriptフレームワークには様々な種類があります。非常に多くの数がありますので、どれを利用すれば良いのか判断に困ることが多々あります。そこで今回はおすすめのJavaScriptフレームワークを、概要やメリット・デメリットとともにご紹介します。
Angular
AngularはGoogleが開発するJavaScriptフレームワークです。フルスタックフレームワークであり、Angularだけでさまざまなアプリケーションが開発できます。
特徴は非常に汎用性が高いフレームワークであることです。多くの機能が標準で用意されていることから、「開発できないものはない」とまで言われることがあります。もちろん扱えるスキルは必要ですが、それだけ利便性の高いものです。
なお、JavaScriptフレームワークの中では歴史の浅いものです。ただ、Googleが開発しているということもあり、信頼感は高く多くの支持を集めています。
メリット
Angularのメリットは以下のとおりです。
- どのようなWebアプリケーションにも利用できる
- 用意されている機能が多く開発がしやすい
- 対応OSや端末の種類が多い
デメリット
Angularのデメリットは以下のとおりです。
- 機能が多く動作が重くなる可能性がある
- 学習コストが高い
jQuery
jQueryはJavaScriptを簡単に扱えるようにしたものです。JavaScriptを簡単にしたものですので、Web開発に利用されることが一般的です。実際に多くのWebサイトで開発に利用されています。
jQueryの歴史は長く、最初に公開されたのは2006年です。そこから様々なカスタマイズが加えられ、現在も引き続き開発されています。歴史の長いJavaScriptフレームワークと言えます。
いくつかの特徴がありますが、注目するべきはJavaScriptでウェブサイトを簡単に操作できることです。ホームページの中で移動する動作を実装したりマウスオーバーで動作する機能を実装したりできます。本来は多くのソースコードを書かなければなりませんが、jQueryがそれを解決してくれます。
メリット
jQueryのメリットは以下のとおりです。
- JavaScriptよりもコードを簡潔に記述できる
- 対応OSや端末の種類が多い
- プラグインの種類が多い
デメリット
JQueryのデメリットは以下のとおりです。
- 機能が多く動作が重くなる可能性がある
- 他のJavaScriptフレームワークやライブラリと競合しやすい
Vue.js
Vue.jsはUIを開発することを目的としたスクリプトフレームワークです。フルスタックフレームワークが人気ですが、こちらのように特定の開発に特化したものも人気です。
UIの開発に特化していますので、実装されている機能は限られています。結果、初心者でも比較的簡単に利用できることが特徴です。学習コストの低いフレームワークだと言えます。
フレームワークの中でも記述に関するルールが少なく、様々なプロジェクトで利用しやすい特徴もあります。プログラムの書き方に一定のこだわりがある人でも大丈夫です。
メリット
Vue.jsのメリットは以下のとおりです。
- 学習コストが低い
- 作業を簡素化しやすい
- DOM操作が自動になる
デメリット
Vue.jsのデメリットは以下のとおりです。
- 機能が限られているため大規模開発がしにくい
Riot.js
Riot.jsは軽量な動作が特徴的なJavaScriptフレームワークです。比較的知名度の低いものであり、ここで初めて聞いたという人がいてもおかしくありません。
基本的な考えとしてRiot.jsには「シンプルな開発」があります。JavaScriptフレームワークは他にも多々ありますが、それらはプロジェクトを作成する必要があったりクライアントサイドから開発する必要があったりするため、「複雑な開発」になるデメリットがありました。これをRiot.jsでは解消しています。
フレームワークはコンポーネントに分けて開発されています。これは一つの機能をまとめた部品のことを指しています。基本的にはこの部品をそのまま利用できますが、必要に応じてカスタマイズをして開発を進めます。
メリット
Riot.jsのメリットは以下のとおりです。
- 学習コストが低い
- 専門のスキルがあまり求められない
デメリット
Riot.jsのデメリットは以下のとおりです。
- 機能が限られているため大規模開発がしにくい
- 利用者数が少なく手に入る情報が少ない
まとめ
JavaScriptフレームワークを利用すると、システム開発を簡略化できます。フルスクラッチする場合と比較すると、その能力は格段に小さくなります。
ただ、フレームワークには様々な種類があり、開発するものに適したものを選択することが重要です。JavaScriptは動作の重い言語ですので、可能な限り最小限のフレームワークを使いたいのです。
どのフレームワークがおすすめかは上記に記載しています。メリットとデメリットを理解し適したものを利用しましょう。