今さら聞けない!Cookieの仕組みを分かりやすく解説!

今さら聞けない!Cookieの仕組みを分かりやすく解説!

インターネットを支える重要な技術に「‪Cookie」があります。古くから利用されているもので、現在のインターネットは‪Cookie無しに使いこなすことができません。非常に多くの場面で、‪Cookieをベースにした機能が提供されています。
今や当たり前のように利用されていますが、意外にも詳細な仕組みについて理解できていない人もいるでしょう。今回は、‪Cookieとはどのような仕組みであるのか、その概要からメリットやデメリットなどを解説します。

Cookieの仕組みとは?キャッシュとの違い

最初に、Cookieとはどのような仕組みであるのか理解を深めましょう。また、間違えられることが多い、キャッシュとの違いについても解説します。

Cookieの仕組み

Cookieとは、Webサイトへアクセスした際に、アクセス者の情報を記録しておくための仕組みです。アクセスに利用した端末の内部へ、WebサイトごとにCookieを作成して、必要な情報を保存します。例えば、ログインに利用するユーザーIDとパスワードなどは、このCookieに保存されるのです。

Cookieは基本的に「Webサイトでの行動や情報を記録する」という意味合いで利用されます。そのため、短期的に行動や情報が記録されるのではなく、中期的に記録されることが一般的です。例えば、1週間や2週間などの期間で記録されるようになっていて、1時間など短期的な記録ではありません。

なお、後ほど解説しますが、Cookieの用途は様々でありWebサイトによって使い方が異なります。また、Cookieが保存される期間もWebサイトによって異なるため、そこも理解しておくべきです。

キャッシュとの違い

Cookieと間違えられやすい仕組みにキャッシュと呼ばれるものがあります。キャッシュはアクセス者の情報を記録する仕組みではなく、Webページそのものをブラウザに保存する仕組みです。一度アクセスしたWebサイトを保存しておくことによって、2回目以降にアクセスする際は読み込み速度を高められます。キャッシュにはCookieとは違い、ユーザーIDやパスワードなどを保存しておく仕組みはありません。

なお、キャッシュは基本的にパソコンの内部へ保存しておくため、キャッシュデータが増えてくるとパソコンそのものが遅くなる場合があります。Webサイトを高速化する仕組みではありますが、データが増えすぎることによって速度が遅くなっては本末転倒です。場合によっては、保存されているキャッシュを削除したりキャッシュを保存したりしない設定にした方が、総合的にはWebサイトを素早く表示できる可能性はあります。

Cookieの種類


Cookieには大きく分けて2種類あるため、それぞれどのようなものであるのか理解を深めましょう。

ファーストパーティCookie

ファーストパーティCookieは、ユーザーが訪問したWebサイトのドメインから発行されるCookieを指します。例えばアクセスしたWebサイトのドメインが「abc.xyz」というドメインならば「abc.xyz」が発行元のCookieはファーストパーティCookieです。訪問したWebサイトのドメインとCookieの発行元が一致しているため、セキュリティ的に問題視されたり、広告防止ツールでブロックされたりする可能性が低くなっています。

なお、ファーストパーティCookieとして発行されたものは、WebサーバーとWebブラウザに同じIDで保存される仕組みです。そして、次回同じWebサイトへとアクセスした際に、ブラウザに保存されている特定のCookieをWebサイトへと送信することでログインなどの処理を簡略化します。ただ、Cookieには有効期限が定められているため、WebブラウザもしくはWebサイトのどちらかが有効期限切れで削除している場合は、Cookieの効果を発揮できません。

サードパーティCookie

サードパーティCookieは、訪問したWebサイトとは異なるドメインから発行されるCookieです。例えば、先ほどと同様に「abc.xyz」というドメインのWebサイトへとアクセスした際に「def.xyz」というドメインから発行されるCookieはサードパーティCookieに該当します。訪問したWebサイトのドメインと発行元が異なっているものは、すべてサードパーティCookieです。

このようなCookieは、訪問したWebサイトに設置された広告などが影響して発行されます。複数のWebサイトでどのようなページを閲覧したかなどを把握するために利用されるものです。用途は幅広くありますが、広告関連などマーケティングの分野でサードパーティCookieはよく利用されると認識して良いでしょう。

Cookieを活用するメリット

Web開発でCookieを利用することは、非常に多くのメリットを生み出します。
例を挙げるときりがありませんが、どのようなメリットがあるのか具体例を紹介します。

Webサイトへのスムーズなログイン

Cookieが利用できることで、Webサイトへのスムーズなログインが可能です。現在のWebサイトは、一度ログインしておくと、一定期間はログイン情報を入力することなく利用できます。このように利便性が向上している裏側には、Cookieの存在があり、特に大きなメリットと考えられているのです。

基本的に、CookieはWebサイトに関する様々な情報を保存しています。しかも、安全に情報を管理できる仕組みとなっているため、ログイン情報でも保存しておきやすいのです。セキュリティ上の問題が発生する場合は、ログイン情報の保存などができませんが、Cookieはその点をクリアしています。

なお、スムーズなログインにCookieが利用されますが、どの程度の期間Cookieが有効であるかはWebサイトの設定次第です。中長期的にログインできることもあれば、短期間で何度もログイン情報を求められる場合もあるため「Cookieがあればいつでもスムーズにログインできる」とは限りません。

ECサイトでのショッピングカート実装

ECサイトを利用する場合「買い物かご」のような機能が提供されているでしょう。この機能を実装するにあたって、多くの場合はCookieが利用されています。Cookieは、ページを移動しても情報を記録できるため、ECサイトで様々なページを渡り歩いても、同じ情報を保持し続けられるのです。

買い物かごのような機能が存在しないと、ページを遷移する前にその都度決済しなければなりません。しかし、このような作業は言うまでもなく手間のかかるものです。利便性を大きく下げると言っても過言ではないでしょう。Cookieがあればこのような問題はスムーズに解決でき、利用者に大きなメリットをもたらしてくれます。

今回はショッピングカートを例にしていますが、ECサイトの閲覧履歴なども同様の仕組みです。また、ECサイトに限らず、Webサイトの中で何かしら情報を記録するような仕組みがあれば、それもCookieの恩恵を受けていると考えて良いでしょう。

フォームへ入力作業の短縮

近年は、一度フォームへ入力しておくと、2回目以降は改めて入力する必要がなくなる場合があります。入力作業は時間を要することが多いため、自動的に入力されることはメリットです。時間の短縮につながり、また入力間違いを防止することもできます。

Webサイトの仕組みには左右されるものの、このような入力作業の短縮は、Cookieにデータが保存されているからです。フォームを表示する際に、Cookieの情報を参照し、その内容を自動的に表示するようにしています。初回については入力する必要があるものの、その内容が記録されているため以降は必要なくなるのです。

ただ、近年はWebブラウザが進化していて、Cookieではなくブラウザに記録されている場合があります。例えば、クレジットカード番号はブラウザに記録されていて、それを自動的に入力できる仕組みがあるのです。一昔前はCookieによって実現されていましたが、現在は必ずしもそうとも言えなくなってきています。

Cookieを利用する注意点


Cookieを利用することには多くのメリットがありますが、同時に注意点もあります。両方を理解して、Cookieを使いこなせるようになっていきましょう。

プライバシーの侵害

基本的に、WebサイトでCookieに該当する情報を取得すること自体はプライバシーの侵害に該当しません。以下で解説するとおり、Cookieには個人情報が含まれますが、適切に管理していれば特に問題はないのです。Webサイトのサービスを提供するためには、個人情報を収集する必要があるため、プライバシーに関わるものも収集しなければなりません。

ただ、情報の収集自体は問題にならないものの、この情報を別の用途に利用するようなことがあれば、プライバシーの侵害に該当する可能性があります。例えば、本人の許可なく関連会社に情報を提供するとプライバシーの侵害になりかねません。また、個人情報の不正な利用として罰されてしまうこともありえます。

プライバシーを考慮するならば、必要以上にCookieを許可しないということも検討しなければなりません。例えば、ログインに関わるものだけ許可して、広告に関連するものは許可しないなどです。また、開発者側も必要最低限の情報だけを収集するようにして、プライバシーを侵害するリスクを回避することを考えた方が良いでしょう。

個人情報の漏洩

メリットで解説した内容からもわかる通り、Cookieには多くの情報を管理できる仕組みです。ただ、それらの中には個人情報が含まれているため、その点に注意しなければなりません。Cookieに多くの情報を保存した結果、個人情報が流出することが考えられます。

例えば、会社の共有PCで個人情報を入力すると、Cookieに保存されてしまうかもしれません。そのパソコンを別の従業員が利用すると、Cookieから個人情報が流出してしまうのです。自動的に保存されることで、自分では気づかないうちに情報が漏洩することもありえるでしょう。

ただ、基本的にCookieは利用しているパソコンでしか読み取れません。そのため、パソコンを共有していない場合は問題ないと考えて良いでしょう。パソコンそのものが盗難に遭うなど、多少のリスクは残ってしまいますが、共有していない限りは大丈夫であると考えるべきです。

削除や有効期限切れ

Cookieを多用しているWebサイトの場合、誤って消えてしまうと正常に動作しなくなる可能性があります。また、Cookieには有効期限があるため、有効期限切れによって思わぬトラブルが生じるかもしれません。

例えば、Cookieが削除されたり有効期限が切れたりすると、Webサイトに改めてログインする必要があります。ただ、もしログイン情報を忘れていると、改めてのログインができません。パスワードを再設定するなどの機能が用意されているWebサイトは存在しますが、手続きに手間が生じてしまうのです。

近年は、情報漏洩を防ぐなどの目的で、Cookieを削除してくれるソフトウェアなどが存在します。適切に使えば便利なものですが、誤って使用すると必要なCookieを削除することになりかねないため、Cookieの特性をよく理解しておくことが重要です。

まとめ

CookieがWeb業界にどれだけ大きな影響を与えているか解説しました。現在、当たり前のように利用できている機能には、Cookieが利用されているものが多く含まれています。WebサイトやWebアプリケーションに、Cookieはなくてはならない存在なのです。

ただ、非常に重要な技術ではあるものの、有効期限切れや情報の削除など、Cookieの活用には課題があります。意外にもアナログな課題が残っているため、それらに注意して活用しなければなりません。

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admin