制御系・汎用系エンジニアからWeb・オープン系へのジョブチェンジ事情

制御系・汎用系エンジニアからWeb・オープン系へのジョブチェンジ事情

エンジニアの種類は細かく分類されるようになっていて、制御系や汎用型と呼ばれるエンジニアがいます。比較的昔から活躍しているエンジニアで、現在でも安定した需要がある分野です。

ただ、新しい分野へチャレンジしたいと考える人も多く、その中でもWeb系やオープン系への転向を考える人が多く見られます。既存のスキルを活かせるエンジニアであるため、ジョブチェンジしたいと考えることは不自然ではありません。今回は制御系や汎用系エンジニアからWeb系やオープン系エンジニアへのジョブチェンジについて解説します。

制御系・汎用系エンジニアとはどのような仕事か

まずは制御系や汎用系のエンジニアとはどのような仕事を指しているのか念のために確認しておきましょう。

制御系エンジニアとは

制御系エンジニアとは、ロボットや家電製品、自動車など電気で動く製品の制御を担当するエンジニアです。ユーザーの操作を受け付けて、それに対する処理を実装します。

電気製品には多くのプログラムが含まれているため、制御系エンジニアの需要は高い状況です。組み込み系エンジニアとも呼ばれ、さまざまな電気製品を動かすために活躍しています。電気製品にはいくつもの種類があるため、制御系エンジニアも細かく分類すると多種多様です。

幅広い電気製品を担当することから、制御系エンジニアとはいえども保有するスキルは人によって異なります。例えば家電製品を開発している人と自動車開発している人ではスキルセットが違うのです。そのため、ジョブチェンジにあたっては、具体的にどのようなスキルを有しているのかが重要となってきます。

汎用系エンジニアとは

汎用系エンジニアとは、汎用機と呼ばれる大型のコンピューターを活用したアプリケーションを開発するエンジニアです。最近は数が減ってきましたが、大企業ではまだまだ利用されています。

汎用機はIBMや富士通など特定のメーカーのみが開発している製品です。一般的なパソコンのように幅広いメーカーが開発しているものではありません。そのため、それぞれの汎用機に独自性があり、専門的なスキルが求められます。ジョブチェンジにあたって汎用系エンジニアであることをアピールするならば、どのメーカーを扱っていたのかも示すことが重要です。

なお、汎用系エンジニアは需要が少なくなっています。これは汎用機からサーバー、そしてクラウドへとシステムが移行されていることが背景です。汎用系エンジニアとして培ったスキルは活用できますが、長く活躍し続けることは難しいため、ジョブチェンジを検討する必要があります

ジョブチェンジ対象のWeb系・オープン系エンジニアとは


続いてはジョブチェンジの対象となる、Web系やオープン系のエンジニアとはどのようなものであるか解説します。

Web系エンジニアとは

Web系エンジニアはWebブラウザで動作するアプリケーション全般を開発するエンジニアです。最近はユーザーインターフェースにウェブブラウザを採用するアプリケーションが多いため、需要が高まっているエンジニアに分類されます。

Web系のエンジニアにも種類があり、開発するアプリケーションや使う環境によって必要なスキルが異なります。例えば、Webサイトを開発するエンジニアも企業の特殊な業務アプリを開発するエンジニアもWeb系エンジニアです。テクニカルな側面では同じようなスキルが必要とされますが、業務面では異なったスキルが求められます。

また、最近はWebアプリケーションをクラウド環境で構築することから、クラウドのスキルが必要です。大規模なプロジェクトになるとクラウドエンジニアが参画しますが、自分で対応することもあり最低限のスキルは求められています。

オープン系エンジニアとは

オープン系エンジニアとは企業内で利用するアプリケーションを開発するエンジニアです。販売管理や生産管理など、基幹システムに該当するアプリケーションを開発します。

そもそもオープン系は上記の汎用系に対する言葉です。汎用系システムはその特性から「クローズ」なアプリケーションであったため、汎用性から脱却する際にオープン系と呼ばれるようになりました。そのため、一般的なアプリケーション開発はオープン系に分類されるといっても過言ではないでしょう。

幅広いアプリケーションを開発するため、厳密にはWebアプリケーション以外も対象範囲です。ただ、近年は業務系のWebアプリケーションを開発するエンジニアの意味合いで使われることがあります。開発する内容の違いから、Web系とオープン系で分けられていると考えましょう。

制御系・汎用系エンジニアからWeb系やオープン系へのジョブチェンジは可能


まずは前提知識としてそれぞれのエンジニアがどのような業務に従事しているのか解説しました。続いては本題であるジョブチェンジが可能であるかどうかについて解説します。

基本的にジョブチェンジが可能

エンジニアの中でも比較的似ている業務を扱っているため、基本的にはジョブチェンジが可能です。今までの経験を活かして、新しい分野で活躍できると考えましょう。環境によって活かせる内容は異なりますが、すべてが無駄になってしまうことはありません。

まず、オープン系エンジニアにジョブチェンジするならば、制御系の経験も汎用系の経験も役立てられます。業務系のアプリケーションを開発するため、同じような開発経験を活かしたジョブチェンジができるのです。

また、Web系エンジニアにジョブチェンジする場合は、開発内容によって多くの経験を役立てられるでしょう。例えば、基幹システムを経験していれば、クラウドで開発される会計システムなどに活かせると考えられます。

一般的に「ジョブチェンジは負担がかかるため避けるべき」と思われがちです。しかし、制御系や汎用系からWeb系やオープン系へのジョブチェンジは実現できるため、諦めずに計画的に進めましょう

自分の強みを理解してからジョブチェンジ

ジョブチェンジにあたっては自分の強みを理解してくことが重要です。その強みがアピールポイントとなるため正しく理解できていないと思うような仕事に就けない可能性があります。

例えば、解説しているとおり業務系アプリケーションの開発経験があるならば、それがひとつの強みです。それをアピールすることで該当のアプリケーションを開発する企業で活躍しやすくなるでしょう。

これは一例ですが、ジョブチェンジにあたっては自分のスキルとのミスマッチを避けることが重要です。

Web系やオープン系へとポイント

Web系やオープン系にジョブチェンジするならば、いくつか押さえておきたいポイントがあります。何を理解してジョブチェンジに臨むべきであるのか解説します。

Webアプリケーションの基本

Web系やオープン系のエンジニアはWebアプリケーションの開発をしなければなりません。今までにWebアプリケーション全体を開発したことがないならば、Webアプリケーションの基本を学んでおきましょう。

例えば、Webアプリケーション開発ではMVCモデルと呼ばれる考え方が多用されます。同じような考え方は他のアプリケーション開発にも利用されますが、改めて理解しておきたい概念です。多くのWebアプリケーションやフレームワークで採用されているため、理解していなければジョブチェンジしても活躍できないでしょう。

また、サーバーのリソースなど、汎用系とは大きく異なる部分があります。理解していないとアルゴリズムの選択を誤るなどのトラブルにつながるため、このあたりの理解も重要です。

他にも、Web系のエンジニアにはフロントエンド開発とバックエンド開発があります。担当する業務が大きく異なるため、この部分についても理解を深めておくとスムーズに活躍できるはずです。

プログラミング言語の習得

今まで扱ってきたプログラミング言語と異なる言語を扱う可能性があります。Web系のプログラミング言語を事前に取得しておくとスムーズなジョブチェンジが可能です。

例えば、Web系やオープン系のエンジニアはPHPやPythonを多用します。どちらかを扱えれば活躍の場が広がるため、最低限どちらかを習得しましょう。また、JavaScriptも利用する機会が多いプログラミング言語であるため、習得をおすすめします。

また、Web系のプログラミング言語ではなくても流用できるものがあります。例えばJavaはWeb開発でも利用されるため、ジョブチェンジの前に習得しておけば活用可能です。

Web系やオープン系ではいくつものプログラミング言語が利用されます。すべての言語を習得することは難しいため、自分の得意分野などを踏まえてスキルアップしておきましょう

ポートフォリオ作成

Web業界は他のエンジニアよりもポートフォリオが重要視される傾向にあります。今までにどのようなものを開発してきたか示しやすいことが背景にあるでしょう。そのため、ジョブチェンジの前にポートフォリオを作成しておくことが理想的です。

特に制御系や汎用系のエンジニアは、ジョブチェンジ前の業務について詳しく触れられないことが多いでしょう。企業秘密などの都合から自分の実績について口外できないのです。そのため、スキルの証明が難しくなってしまいます。

ただ、ポートフォリオを作成しておけば、これを提出することでスキルの証明が可能です。ポートフォリオは実在する案件ではなくても差し支えないため、何かしら架空のアプリケーションを作成しておくことをおすすめします。

制御系・汎用系エンジニアからWeb系・オープン系への求人や案件


続いては実際にジョブチェンジしたいと考えた際に、求人などの状況はどうなっているのかについて解説します。

安定した求人や案件

Web系もオープン系も需要が高い職種であるため、求人や案件が数多く存在します。ジョブチェンジにあたっては自分に適した仕事を見つける必要があるため、選択肢が多い環境は魅力的です。さまざまなバックグラウンドの人を受け入れる環境が整っています。

また、制御系や汎用系からのジョブチェンジを前提とした求人も見られます。そのような求人を選択すれば、スムーズなジョブチェンジを実現できるでしょう。バックグランドに理解のある求人であるため、それ以外よりも相手側担当者と意思疎通を図りやすくなります。

なお、フリーランスでジョブチェンジを検討している場合も、同様にバックグラウンドに理解のある案件がおすすめです。汎用系の経験者をあえて求めているような案件が存在するため、それらにチャレンジしてみましょう。Web系やオープン系で経験を積めば、ジョブチェンジが完了し、Web系エンジニアとして活躍できます。

社内でのジョブチェンジも見られる

同じ会社内で受注する案件が変化し、ジョブチェンジするケースもあります。例えば汎用系の開発は一昔前と比較すると減少しました。そのため、オープン系の開発に切り替え、エンジニアにもジョブチェンジを求めているのです。

このようなケースの場合、ジョブチェンジに必要な費用は会社が負担してくれるなどのメリットがあります。会社としてエンジニアのスキルを改める必要があるため、研修などを受けさせてくれるのです。

ただ、会社としてのジョブチェンジは、個人のスキルを無視したものとなりかねません。案件数の変化からWebアプリケーション開発の受注を増やす企業は多くみられますが、無理やりのジョブチェンジにはエンジニア側の負担が生じるのです。

まとめ

制御系や汎用系のエンジニアからWeb系やオープン系へのジョブチェンジについて解説しました。どのエンジニアも一定の需要はありますが、やりたいことの変化などによってはジョブチェンジもできる状況です。制御系や汎用系はその経験をWeb系やオープン系で活かしやすいため、よいジョブチェンジと考えましょう。

ただ、スキルセットがそのまま活かせるのではなく、ジョブチェンジにあたってはいくつかのスキルアップが必要です。また、Web業界ではポートフォリオが重要となるため、これらの作成も意識しましょう。バックグラウンドだけではスキルの証明がしにくいため、事前に準備しておくことがポイントです。

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admin