業務委託契約とは?フリーランスとして知っておくべき契約内容について

業務委託契約とは?フリーランスとして知っておくべき契約内容について

フリーランスとして働くのであれば契約内容について理解しておくべきです。特にフリーランスは業務委託を受けることが多いですので、これについて正しい知識を持っておくことが理想的です。
ただ、契約と言われてもなんとなく難しく敬遠している人も多いのではないでしょうか。クライアントの指示に従って契約をしている人もいるはずです。
しかし、このような状態で働き続けるのは望ましくありません。この機会に業務委託契約について正しい知識を持ちましょう。

フリーランスの契約で利用される業務委託契約とは

フリーランスの契約で利用される業務委託契約とはどういったものなのでしょうか。まずは契約の概要から知らなければなりません。以下では業務委託契約について共通の認識を持つようにしていきましょう。

民法には業務委託契約が定義されていない

契約に関連する法律として民法が挙げられます。ここには契約に関する様々な決め事が記載されています。これを中心に業務委託契約について考えなければなりません。
しかし、民法には業務委託契約について記載されていません。これが意味するところは、民法の定義では業務委託契約と呼ばれるものは存在していないということです。法律で定められた契約の名称では無いことを理解しておきましょう。
ただ、業務委託契約は一般的に利用されている名称です。つまり、法律としては定義されていないいわば通称と考えられるものなのです。間違えてはいけないことは、名称としては定義されていないものの、業務委託契約は民法の解釈に則って契約されるということです。決して民法が適用されない契約ではありません。

業務委託契約には請負契約と準委任契約が存在する

業務委託契約は通称であることをご説明しました。実は業務委託契約を民法で解約すると「請負契約」と「準委任契約」の2種類に分かれます。これらは民法に定義されているものであり、実際の契約もどちらかで結ばれるはずです。これら2種類の契約について詳細をご説明します。

請負契約

請負契約は民法の定めによると以下の通りです。
“請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。(民法632条)”
つまり、業務委託契約の中でもフリーランスは仕事を完成させることが求められています。例えばプログラミングの発注であれば、そのプログラミングを完了させることが求められています。受注してから自分には無理だったとは言えない契約です。業務委託契約を結んだからにはフリーランスとして責任をもって完了させなければなりません。
ただ、メリットもあり仕事が完了すれば良い契約でもあります。上記の例であれば出社する義務はなく、自分の好きなタイミングに仕事をしてプログラミングを完成させれば問題ありません。いつどこで仕事をしているかは問われない契約です。
フリーランスらしい働き方は業務委託契約の中でも請負契約に分類されるものです。しかしこの契約の場合には、仕事を完成させる義務が発生します。受注したからには必ず完遂できる仕事を選択しなければなりません。

準委任契約

準委任契約は民法の定めによると以下の通りです。
“この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。(民法656条)”
つまり、業務委託契約の中でも与えられた仕事をきっちりとこなすことが求められています。きっちりとこなした結果として仕事が完遂できなくとも、その結果は問われない契約です。結果が問われないという点で請負契約とは大きく異なります。
結果は問われませんがきっちりと仕事をすることが求められています。そのため、仕事をしていることを証明する為に、クライアント先で作業をしなければならないことが多々あります。つまり出社の義務があるケースが多い業務委託契約です。
フリーランスとして仕事を受注する初期の段階は、準委任契約を選択することが理想的です。最初から請負契約を選択してしまうと、仕事が完遂できなかった時に信用を失う原因となります。
もちろん準委任契約でも与えられた仕事は完遂できることが理想的です。ただ、最初のうちは様子を見なければならない部分もありますので、万が一に備えて準委任契約で業務委託契約を結ぶようにしましょう。

フリーランスで利用される他の契約との違い

フリーランスで利用される業務委託契約とその他の契約にはどのような違いがあるのでしょうか。
準委任契約や請負契約がフリーランスでは利用されます。これ以外の契約として派遣契約などが存在しています。ただ、フリーランスの業務委託契約では派遣契約が利用されることはほぼないでしょう。派遣契約も有期の契約ではありますが、派遣契約を結ぶためにはどこかしらの最近会社に属さなければなりません。フリーランスの場合にはこのような会社に属すことはほぼ考えられませんので、業務委託契約として派遣契約が利用されることはないと考えてよいでしょう。

フリーランスが業務委託契約を利用するメリットとデメリット

フリーランスが業務委託契約を利用することにはメリットもデメリットもあります。これらについても理解をしておかなければなりません。どのようなものがあるのかを以下で具体的に説明をします。

業務委託契約を利用する2つのメリット

業務委託契約を利用するメリットは2つあります。以下ではこれらについてご説明をします。

得意分野に特化した仕事を受注できる

業務委託契約では自分の得意分野に特化した仕事を受注できる点がメリットです。
フリーランスですので基本的には自分の得意とすることを生かした仕事をするはずです。そして会社員と異なる点は、必要以上に得意とする仕事以外のことをしなくてもよいということです。
会社員の場合には様々な仕事をしなければなりません。自分が得意としていないことであっても、会社の業務の一環でやらなければならないことは多々あります。面倒なことに時間を割かなければならないこともあるでしょう。
フリーランスになるとそのような仕事は最低限で済ませられます。どうしてもやらなければならないことはありますが、そのために積極的に時間を割く必要は無くなるのです。自分の得意分野に特化した仕事を受注できることが、業務委託契約を利用するメリットです。

自分のスキルを最大限単価に反映できる

フリーランスが業務委託契約を結ぶ場合、クライアントからある程度の信用力を勝ち取っていることが前提です。信用力がなければフリーランスとして業務委託契約を結ぶことは難しいのです。
そのような状況ですので、業務委託契約の時は単価交渉がしやすいメリットがあります。クライアントも自分の価値をよく理解しているはずですので、スキルを最大限単価に反映できるようになります。自分の満足する単価で仕事がしやすくなります。
もちろんクライアント側には予算があります。その兼ね合いもありますので、自分の希望する単価が必ずしも受け入れられるとは限りません。交渉が決裂してしまう可能性もなきにしもあらずです。そのような可能性もありますが、業務委託契約では自分のスキルに応じた単価を設定しやすいメリットがあります。

業務委託契約を利用する3つのデメリット

業務委託契約を利用するデメリットは3つあります。以下ではこれらについてご説明をします。

フリーランスの場合は労働基準法の対象とならない

フリーランスの場合は労働基準法の対象とならないことがデメリットです。
業務委託契約で利用される契約は、どちらもフリーランスにとって労働基準法の対象となるものではありません。労働者として契約するものではなく、フリーランスという事業者として契約するものだからです。クライアント側は労働時間を管理する必要はないのです。
そのため場合によっては労働基準法に抵触するような時間を働かなければならないことも考えられます。クライアントからの依頼内容によっては長時間勤務が強いられることがあるのです。この点がフリーランスが業務委託契約を利用するデメリットです。
ただ、契約時に労働時間については見積もりをしておかなければならないのも事実です。また、対応する労働時間については契約書に記載をしておくことが理想的です。労働基準法の対象外となることを踏まえ、自分でできる対応策は取っておかなければなりません。

フリーランスであるため確定申告を自分でしなければならない

フリーランスですので業務委託契約で得た収入は自分で確定申告をしなければなりません。会社員のように自動的に源泉徴収されて確定申告をしてもらえる仕組みはありません。クライアントによっては源泉徴収をして支払いをしてくることもありますが、年末調整はありませんのでどちらにしろ確定申告をしなければなりません。
一般的に確定申告は手間のかかる作業であると言われています。特にフリーランスで青色申告を利用している場合、しっかりとした帳簿を付けなければなりませんので時間が必要となってしまいます。このことを毛嫌いしている人も多いのが事実です。
しかし、業務委託契約で一定以上の収入があるのであれば、必ず確定申告をしなければなりません。また、青色申告を利用している場合には課税対象額にかかわらず確定申告をしなければならないのです。つまり、基本的に確定申告は切っても切れない存在なのです。
業務委託契約ではなくともフリーランスでは自分で確定申告をするのが基本です。面倒なことには違いがありませんが、やらなければならないことですので対応を求められます。

業務委託契約は常に発注がもらえるとは限らない

業務委託契約は常に発注がもらえるとは限りません。収入が不安定になる点がデメリットです。
ただ、この点はフリーランスとして働く共通のデメリットでもあります。フリーランスは安定した収入を得られる保証がない点が大きなデメリットなのです。
このデメリットに関しては業務委託契約を利用した時に限ったものではありません。どのような形態で働いていても、無期雇用されていないフリーランスは収入が不安定になる可能性があるのです。
このようなデメリットはあるものの、会社員として働くよりは高い単価で仕事ができるなどのメリットもあります。収入が不安定になるデメリットとのバランスを考えなければならない部分です。
基本的に業務委託契約は有期契約となっています。一定期間で更新するか終了するかを相談する仕組みです。安定して仕事を貰えるに越したことはないですが、契約が満了となる可能性もある点はデメリットです。

フリーランスが業務委託契約を受けるときの注意点

フリーランスが業務委託契約を受ける場合、いくつか注意しなければならないことがあります。見落としていると後でトラブルになる可能性もあるぐらいです。どのような点に注意しなければならないのかもご説明します。

偽装請負にはなっていないか

請負契約の場合、偽装請負になっていないかに注意しなければなりませ。
請負契約であれば仕事を完成させることだけが求められています。クライアントはそれ以上のことを求めてはなりません。
例えば請負契約の中には、作業場所として自社を指定しているようなものがあります。ただ、これは場合によっては準委任契約とみなされ違法な契約であると判断されてしまいます。違法な請負契約のことを偽装請負契約と呼んでいます。実体が準委任契約であってはいけません。
請負契約を利用する場合には、内容を確認して偽装請負の可能性がないかを精査しておきましょう。場合によっては準委任契約に切り替えてもらう必要があります。

法令を遵守した契約書になっているか

業務委託契約は依頼する側と依頼される側が対等な契約でなければありません。依頼される側のフリーランスが、一方的に不利になるような契約をしてはならないのです。
クライアントの中には、フリーランスが一方的に不利になるような契約書を提示してくることがあります。このような契約は業務委託契約としてはあってはならないものです。そのため自分でも内容を確認して、気になる部分があればクライアントに確認をしなければなりません。
ただ、法律的なことを素人が判断するのは難しいのも事実です。最近はフリーランスの法務を手助けするようなサービスもありますので、そのようなサービスも利用して内容を精査してもらうと良いでしょう。

業務委託契約では2種類の契約が存在することを理解しておく

一般的には業務委託契約と呼ばれていますが、民法上の解釈では2種類の契約に分かれます。まずはこのことを正しく理解しておかなければなりません。
2種類の契約は請負契約と準委任契約と呼ばれ、それぞれ仕事を完遂する義務があるかどうかなど大きな違いがあります。フリーランスが仕事を受注する時には、どちらの契約を利用するのかをよく考えなければなりません。
契約方法を間違えてしまうとそれがきっかけでトラブルになる可能性もあります。業務委託契約の詳細をよく確認し、適切な方法で契約を結ばなければなりません。


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