GCPの資格一覧|種類と難易度を解説

GCPの資格一覧|種類と難易度を解説

Googleが提供するクラウドサービスである「Google Cloud Platform(以下GCP)」にはGoogle Cloud認定資格と呼ばれるものがあります。GCPのスキルを証明できる資格ということもあり、世界的に注目を集めているものです。実際GCP資格は、Global Knowledgeの調査で「稼げる資格」として紹介されています。

注目の資格ではあるのですが、かつては英語でしか受験できなかったなどの理由から、日本ではまだ浸透していない資格です。今回はGCP資格(Google Cloud認定資格)の種類と資格の概要、勉強方法などを解説します。

そもそもGCP(Google Cloud Platform)とはなにか

最初にGCPとは何かを復習しておきましょう。GCPとは、Google社が提供するパブリッククラウドサービスです。Amazon社が提供するAWSやMicrosoft社が提供するAzureなどと並んで、主要なクラウドサービスとして知られています。

GCPはGoogleが提供しているパブリッククラウドサービスであり、YouTubeやGメールで利用されるようなインフラが流用されていることが特徴です。つまり、インフラ面においては他のパブリッククラウドサービスよりも強固なものとなっています。

他にもGoogle社が提供しているものですので、同社が提供する様々なサービスとの親和性が高いクラウドサービスとなっています。カレンダーやメールなど各種サービスとクラウドを連携して利用したい場合、GCPが選択肢に挙がると考えておきましょう。

GCP資格(Google Cloud認定資格)とはなにか

それでは具体的にGCP資(Google Cloud認定試験)とはどのようなものかを確認していきましょう。

GCP資格(Google Cloud認定資格)の概要

Google Cloud認定資格とは、GCPについてGoogle社が実施している認定資格です。クラウドサービスの分野やレベルごとに複数の試験が実施されていて、それぞれ個別に受験が可能です。

なお、資格の名称に「Google Cloud」とあるように、GCPの知識だけが重視されているものではありません。しかし、出題されている試験内容を踏まえると、GCPに関するものが多くなっています。そのため、実質的にはGCPの試験であると考えて差し支えありません。

GCP資格(Google Cloud認定資格)の種類

GCP資格(Google Cloud認定資格)には様々な種類があり、
一覧にまとめると以下のとおりです。

  • Associate Cloud Engineer(英語・日本語)
  • Professional Cloud Architect(英語・日本語)
  • Professional Cloud Developer(英語)
  • Professional Data Engineer(英語・日本語)
  • Professional Cloud DevOps Engineer(英語)
  • Professional Cloud Network Engineer(英語)
  • Professional Cloud Security Engineer(英語)
  • Google Workspace Administrator(英語・日本語)
  • Professional Machine Learning Engineer(英語)

GCP資格全てが日本語で受験できるわけではなく、一部は英語での受験に限られてしまいます。AWSの認定資格はすべて日本語で受験できますので、それと比較するとややハードルが高く感じられます。ただ、GCP資格の中でも主要なものは日本語で受験できますので、そこまで大きな問題にはならないでしょう。

GCP資格の中でも、特に人気であるのは構築能力やインフラスキルを示す「Associate Cloud Engineer」とその上位スキルを示す「Professional Cloud Architect」です。
クラウド環境は適切に構築できなければ始まりませんので、これらのスキルを証明できるものが重要視されています。どちらも日本語での受験が可能ですので、その点も人気の理由だと考えられます。

GCP資格(Google Cloud認定資格)の試験内容・難易度


今回は日本語で受験ができる4資格について、試験内容・難易度を解説します。

なお、GCP資格は受験するものによって出題内容が大きく異なります。まずは内容を確認して学習するべき事項を明確にしておくと、資格取得への近道となります。

Associate Cloud Engineer(英語・日本語)

Associate Cloud EngineerはGCP資格の中でもAssociateレベルに分類されるものです。Professionalレベルの資格と比較すると、基本的な内容が多く最初に取得するのにおすすめのGCP資格です。

Associate Cloud Engineerは、Google Cloudでのアプリケーションデプロイやオペレーションのモリタニングなど、インフラストラクチャに関する基本的な内容が出題されますGoogle Cloud認定資格の公式サイトでは「6ヶ月以上の実務経験」が推奨されていますので、一通りの機能が理解できているかどうかが確認されていると考えてよいでしょう。

出題範囲についてはGoogle Cloud認定資格の公式サイトで定義されていて、そちらを引用すると以下のとおりです。

  • クラウド ソリューション環境の設定
  • クラウド ソリューションの計画と構成
  • クラウド ソリューションのデプロイと実装
  • クラウド ソリューションの安定稼働の実現
  • アクセスとセキュリティの構成

GCPのサービスに関わるものだけではなく、クラウドに関する基本知識も問われます。GCPについては具体的なコマンドなども問われますので、技術的な理解も必要です。

Professional Cloud Architect(英語・日本語)

Professional Cloud Architectはアーキテクチャの設計や構築を対象としたもので、Associateよりも深い内容が問われていることが特徴です。

Professional Cloud Architectでは組織的にクラウドを利用するアーキテクチャと、それをGCPでどのように実装するかが問われます。アーキテクチャの理解だけではなく、GCPのサービスを最大限に活用して、適切に環境構築ができなければなりません。Google Cloud認定資格の公式サイトでは「業界経験が 3 年以上(GCP を使用したソリューションの設計と管理の経験 1 年以上を含む)」が推奨されていますので、深い知識がなければ対応できないものです。

出題範囲についてはGoogle Cloud認定資格の公式サイトで定義されていて、そちらを引用すると以下のとおりです。

  • クラウド ソリューション アーキテクチャの設計と計画
  • クラウド ソリューション インフラストラクチャの管理とプロビジョニング
  • セキュリティとコンプライアンスに対応した設計
  • 技術プロセスやビジネス プロセスの分析と最適化
  • クラウド アーキテクチャの実装の管理
  • ソリューションとオペレーションの信頼性の確保

設計だけではなく管理スキルも必要ですので、求められるスキルは幅広く難易度は高まっています。また、単なる設計スキルに留まらず「分析と最適化」「信頼性の確保」も求められていますので、こちらの観点でも難易度が高まっています。クラウド環境は従量課金ということもあり、コストパフォーマンスを高めた最適な設計スキルが求められるのです。

Professional Data Engineer(英語・日本語)

Professional Data Engineerはデータ収集や分析を対象としたもので、ビッグデータ解析や機械学習を取り扱うGCP資格です。他の資格は「GCPでのシステム構築」に関連するものが中心ですが、こちらは一つの分野に絞った資格です。

Professional Data EngineerではGCPのサービスを理解したデータ解析スキルが求められます。ビッグデータ解析向けのサービスが提供されていますので、それらを上手く使いこなせなければなりません。また、それらを使いこなすためにデータ解析に関する基本的なスキルも求められます。Google Cloud認定資格の公式サイトでは「業界経験が 3 年以上(GCP を使用したソリューションの設計と管理の経験 1 年以上を含む)」が推奨されていますが、ビッグデータ解析に関わるサービスを中心に経験していれば経験年数は短くとも対応できるでしょう。

出題範囲についてはGoogle Cloud認定資格の公式サイトで定義されていて、そちらを引用すると以下のとおりです。

  • データ処理システムの設計
  • データ処理システムの構築と運用化
  • 機械学習モデルの運用化
  • ソリューションの品質の確保

Professional Data Engineerは、問われている内容からも分かるとおり、GCPに関するスキルが中心として問われているわけではありません。サービスを使いこなすスキルは必要ですが、その前提となるビッグデータ解析のスキルが必要です。また、解析をするだけではなく、そこから一歩先、その解析結果からビジネスの解決策などを導き出すスキルが身についているかまで問われます。

Google Workspace Administrator(英語・日本語)

Google Workspace Administratorは、システム部門だけではなくユーザー部門やコンテンツ内容などを包括的に意識したシステム構築スキルが求められます。GCPのサービスを最大限活用し、セキュリティや利便性を最適化できるかどうかが問われます。

Google Workspace Administratorでは単純なGCPの構築スキルが求められるのではなく、ビジネス的な要件を満たすことが重要です。可能な限りGCPの最適解に沿って環境を構築する必要はありますが、ビジネス要件も踏まえられるようにならなければなりません。臨機応変に対応する必要があり、難易度が高いものとなっています。GCPのサービスを最大限に活用して、適切に環境構築ができなければなりません。Google Cloud認定資格の公式サイトでは「業界経験が 3 年以上(Google Workspace(旧 G Suite)の管理経験 1 年以上を含む)」が推奨されていますので、Google Cloudを組織的に活用してきた経験も求められます。

出題範囲についてはGoogle Cloud認定資格の公式サイトで定義されていて、そちらを引用すると以下のとおりです。

  • Google Workspace の承認およびアクセスの計画と実装
  • ユーザー、リソース、チームドライブのライフサイクルの管理
  • メールの管理
  • Google Workspace サービスの制御と構成
  • エンドポイント アクセスの構成と管理
  • 組織運営のモニタリング
  • Google Workspace の採用とコラボレーションの促進

Google Workspace Administratorは、GCPのスキルは問われていますが、企業運営に関するスキルも多く問われています。GCPのスキルを企業運営にどのように落とし込むかが問われていると考えると良いでしょう。そのように考えると、実務経験がなければ理解しにくい部分があり、純粋なGCPのスキルが問われる試験よりも難易度は高くなります。

なお、Professional Google Workspace Administratorの旧名称は「Professional Collaboration Engineer」です。
2022年(?)4月29日より、Professional Collaboration Engineer 認定試験は「Professional Google Workspace Administrator 認定試験」に名称変更されました。
変更されたのは名称だけで、試験内容は従来のProfessional Collaboration Engineerと変わらないようです。
参照:GCP公式サイト – Professional Google Workspace 管理者

Google Cloud認定資格の勉強法


GCP資格の勉強方法についても解説します。

参考書・WEBサイト

まずは参考書を購入して座学での知識を深めていきましょう。身につけるべき内容は多岐に渡りますので、参考書を利用して体系的に学ぶのが理想的です。

参考書は様々ありますが、自分なりに解説が分かりやすいものを選びましょう。クラウドやGCPの理解状況によって分かりやすさは異なるはずですので、実際に中身を見てみるのが理想的です。

加えて参考書だけではなく、公式サイトなどでも学習をしましょう。クラウドサービスは定期的に内容の変化がありますので、試験内容に合わせて最新のスキルを身につけておきます。

GCPトレーニング

GCP資格向けのGCPトレーニングに参加するのも良いでしょう。これはGoogle社から認定を受けた企業などが実施できる、資格対策のトレーニングです。

トレーニング自体の認定を受けていますので、内容が資格取得に直結する点がメリットです。参考書を利用するよりも、必要な内容を効率よく学習できます。また、質問できる環境が作られますので、疑問点を解決しやすいメリットも生まれます。

オンライン講座(動画)

有料のものが中心ではありますが、GCP資格合格に向けた講座が公開されています。Courseraと呼ばれるものが有名で、多くの人に利用されています。

一般的に動画コンテンツは、書籍などよりも理解しやすいと考えられています。そのため資格取得に向けて、動画コンテンツを利用するのも悪くありません。ただ、ピンポイントな学習には向かない特徴もあり、書籍などとの併用が理想的です。

まとめ

GCPの資格は9種類提供されています。それぞれ内容やレベルが異なりますので、目的に応じて適切なものを取得するようにしましょう。特に基本レベルと言えるような入門編の資格はありませんので、最初に受験をする時は注意して選択しましょう。

資格は世界的に認められているもので、年収アップなどにつながりやすいものです。資格の難易度は高いものでありますが、それだけの価値はあると考えてよいでしょう。

なお、学習の際にはテキストとWebのコンテンツの両方を活用しましょう。クラウドサービスであるGCPは常に進化しています。基本的な知識と最新の知識の両方を身につけて、試験に臨むようにしましょう。

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