今さら聞けない!Maasについての解説!需要、今後の将来性と合わせてチェック!

今さら聞けない!Maasについての解説!需要、今後の将来性と合わせてチェック!

近年は新しいテクノロジーが次々と開発され、それらの中にはMaaSと呼ばれるものが存在します。MaaSは「Mobility as a Service」の頭文字を取ったもので、従来の交通サービスに自動運転など様々なテクノロジーを組み合わせたものを指します。

まだ、新しい考え方であり、広く浸透しているとは言えない状況です。また、時代の流れとともにMaaSの概念はさらに進化しているため、それらについても解説します。

基本的なMaaSの考え方


最初に、MaaSとはどのような考え方であり、どのような概念であるのか理解を深めていきましょう。

MaaSとは

冒頭の繰り返しですが、MaaSは「Mobility as a Service」の頭文字を取ったもので、直訳すると「サービスとしての移動」です。直訳するとイメージを掴みづらいかもしれませんが、単なる交通手段ではなく、様々なテクノロジーを組み合わせた移動サービスを指します。現在は自動運転やAIを活用した交通の制御など、様々なサービスが提供される時代です。そのような次世代の交通サービスを、まとめてMaaSと呼ぶと理解しても良いでしょう。

国土交通省によると、以下の定義となっています。

MaaS(マース:Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスであり、観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるものです。

「国土交通省日本版MaaSの推進」より引用

ただし、国や研究者などによって定義内容には少々違いがあるため注意しましょう。

進化したMaaSの考え方

基本的な考え方としては、上記で解説した通りの内容です。ただ、テクノロジーの進化なども影響し、現在は状況が変わりつつあります。

例えば、現在のMaaSは交通手段の最適化や支払いの一元化だけではなく、物流など関連する領域にも影響するようになってきました。カーシェアやタクシーでの事前決済サービス、無人配送など非常に幅広いものがMaaSとして扱われるようになったのです。

MaaSにおいて、何を想定するかは状況によりけりです。人や状況によって解釈が異なるため、適切な前提を置いて、意思疎通を図るようにしなければなりません。

MaaSの統合レベル

MaaSはいきなり普及するものではなく、段階的に普及すると考えられています。スウェーデンのチャルマース大学のJana Sochor氏によって、普及度合いについて「統合レベル」が5段階で定義されているため、これらについて理解を深めましょう。

レベル0

交通サービスが単独で存在し、外部と連携されていない状況です。大半のサービスはこの状態からスタートし、外部サービスとの連携を目指していきます。

ただ、日本のサービスにおいてレベル0のものはほとんど見受けられません。なぜなら、多くの交通サービスは、インターネットを活用することで情報の収集が可能だからです。国として、レベル0の状態は脱却していると考えましょう。

レベル1

支払いの集約には対応していないものの、横断的に情報を検索できる段階を指します。具体的には、出発地と目的地を入力すると、ルートや時間などが表示される状態です。日本はこの状態にあると考えましょう。

近年は、同じICカードを利用することで、複数の交通サービスを利用できるようになっています。ただ、統合されているサービスは限られているため、まだまだ上のレベルを目指せる状況ではありません。

レベル2

交通サービスを一括で検索できるだけではなく、支払いもできる状況です。例えば、乗り換え案内サイトで時刻を検索し、その状態で予約までできるとイメージしましょう。複数の交通サービスを利用する場合でも、乗り換え案内サイトから一括で予約できる状況だと考えられます。

現在の日本は、乗り換え案内サイトで検索して、それぞれの会社で予約しなければなりません。また、在来線など予約に対応していない路線は、利用する当日に料金を支払う必要があります。全てをオンラインで支払えないという点でも、MaaSが極端に進んでいるとは言えません。

レベル3

複数の交通サービスを一括で予約したり支払ったりできるプラットフォームが提供されている状態です。世界に目を向けるとフィンランドの「Whim」のようなプラットフォームは、MaaSを大きく加速しているといえます。

また、レベル3では鉄道やバスなど公共交通機関だけではなく、レンタカーやシェアライドなどとの連携も必要です。公共交通機関と民間の交通サービスが同じプラットフォームを共有することは難しく、レベル3までMaaSを推し進めることは、非常にハードルが高いと考えて良いでしょう。

レベル4

民間企業ではなく、国や地方自治体が、MaaSを推進するプラットフォームを提供する段階です。例えば、東京都が鉄道やバス、タクシーにレンタカーを一括で予約したり支払ったりできるプラットフォームを提供します。民間企業ではなく、国や地方自治体がサービスを提供することで、安心感が高まるのです。

ただ、ここまでMaaSが推進されている事例はごく一部です。レベル3まで推進されている国や地方自治体は世界的に見てもほとんど存在していません。そのため、現時点ではこのような定義が存在することだけ理解できていれば十分でしょう。

参考:MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス) について

MaaSの導入によるメリット

‪MaaSの導入によるメリットはいくつもあるため、特に注目したいものをピックアップして解説します。

交通サービスの利便性向上

交通サービスの利便性向上に、‪MaaSが大きく貢献することがメリットです。特に、何度も乗り換えが発生するような場面では、‪MaaSの導入具合によって利便性に大きな違いを生み出します。

例えば、電車やバスを同時に手配できる環境であると、自分自身で乗り換えを調査する必要がありません。本来は、それぞれの到着時間や出発時間、乗り換え先への移動時間などを調査して算出する必要がありますが、‪MaaSとして統合されていれば簡単に情報が手に入ります。

また、決済までも統合されていると、個別に支払いする必要がありません。一回の手続きですべてが利用できるようになり、利便性が大きく高まるのです。

地域の活性化

交通サービスの利便性が向上すれば、地域の活性化にも役立ちます。例えば、乗り換えの待ち時間が短縮されることで、その地域のお店に立ち寄りやすくなるでしょう。そうなれば、その地域で利用されるお金の額も増えると考えられます。

また、人の流れが活発になることで、新しいお店が進出したりサービスが展開されたりするかもしれません。今までにはなかった需要が生まれることも、その地域の活性化につながるでしょう。

ただ、地域が活性化しても、需要には一定の偏りが生じる可能性はあります。例えば、小型の小売店よりも、大型の量販店に消費者が集中してしまうのです。‪MaaSだけでは解決できない問題もあるため、その点は注意しなければなりません。

スマートシティの実現

内閣府の定義によると、スマートシティは「先進的技術の活用により、都市や地域の機能やサービスを効率化・高度化し、各種の課題の解決を図るとともに、快適性や利便性を含めた新たな価値を創出する取組」とされています。具体的な取り組み内容は数多くあるものの、その中に交通手段の利便性を高めるMaaSが含まれています。

MaaSのように交通機関が統合化され、なおかつIT化されれば、スマートシティの要件を全般的に満たすことが可能です。内閣府としては「都市OS」としてIT基盤の構築を目指しているため、推進活動を大きく担っています。交通機関という側面に限られてしまいますが、国・地方自治体・民間企業などが連携することで、より良い社会作りに向けたアーキテクチャの構築ができるのです。

出典:スマートシティ官民連携プラットフォーム

日本におけるMaaSの事例


事例としては多くありませんが、日本でもMaaSを広げようとする実証実験などが実施されているためそれらを紹介します。

めむろコミ☆タク

芽室町ではMaaSに関連する事業として「めむろコミ☆タク」と呼ばれるものを実施していました。サブスクリプション型のタクシーの提供や、商業ドライバーなどとのコラボ、車内での商品販売など、交通サービスの事業者と利用者が相互に提携できる環境が整えられようとしているのです。

また、交通機関の手配は基本的にデジタル化されていますが、高齢者が多いことからコールセンターも用意されています。MaaSの推進において、完全なるIT化は要件とされていないため、コールセンターのように人が介する場合でもMaaSと判断が可能です。

参考:芽室町MaaS事業「めむろコミ☆タク」について

マイルート

トヨタ自動車、西日本鉄道、JR九州が協力し、スマートフォン向けのMaaSアプリである「マイルート」を提供しています。限られたエリアでの実証実験の結果、非常に好評であったことから2019年に本格的な運用が開始され、現在では九州エリアだけではなく神奈川県や愛知県でもサービスが提供されるようになりました。

こちらのアプリは、簡単に説明すると複数の交通機関をまとめて検索したり手配したりするものです。MaaSでは、複数の交通機関を統合することが求められているため、まさしく要件を満たすものと言えるでしょう。また、該当エリア内で完結する移動だけではなく、それらを出発地とした長距離移動にも対応していることが特徴です。

参考:マイルート |「行きたい」をつなげる「おで活」アプリ

MaaSの将来性は明るい

多くのエンジニアは、MaaSがこれからどのように発展し、自分たちに影響するのかどうか気になるでしょう。現状、将来性は明るいと考えられるため、その点について解説します。

MaaSの市場規模は拡大中

国土交通省などの調査を参考にすると、日本においてMaaSの市場規模は拡大傾向にあります。発展を続けている状況であり、これからさらに発展を続けるでしょう。例えば、カーシェアの利用が今まで以上に広がると、MaaSに関わるエンジニアの数が増えるはずです。また、現在計画されているようにシェアライドが解禁されれば、新たなプラットフォームなどを用意する必要があるでしょう。

新たなサービスの提供やプラットフォームの開発には、多くのエンジニアが必要とされます。これからMaaSが今まで以上に普及し発展すると、多くのエンジニアが開発などへ関わることになるはずです。

日本においては課題も多い

MaaSは注目されている概念であり、実際に日本でも導入されている事例があります。社会実験として実施されているものは多いですが、今後は本格的に導入されていくでしょう。

ただ、日本においては法整備やインフラ、プラットフォームが整っていないという課題があります。‪MaaSは地方自治体が運営する交通サービスの企業が提供するサービスも統合される必要がありますが、そのような環境は整っておらず、まだ大半は検討すら進んでいないのです。

とはいえ、公共交通機関に対する需要が減ることはなく、MaaSのような考え方はこれから需要が高まるでしょう。それに伴いエンジニアが求められるようになるため、将来性は明るいと考えるべきです。

まとめ

世界的に発展を見せているMaaSについて解説しました。交通サービスを様々なテクノロジーで便利にするもので、日本では時刻表検索サービスなどがこれに該当します。

ただ、世界的な観点からすると、鉄道やバスだけではなくレンタカータクシーなども含めなければなりません。また、情報を検索できるだけではなく、オンラインで支払いできることも求められます。日本は、まだまだMaaSの初期段階であるため、これからのさらなる発展に期待できます。

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admin