シェアリングエコノミーとは|概要や市場動向、将来性を解説

シェアリングエコノミーとは|概要や市場動向、将来性を解説

近年はシェアリングエコノミーという言葉が、社会に浸透してきました。直訳すると「共有経済」という意味であり、個人が所有しているモノや場所などの資産を、提供したり共有したりする考え方です。

このような言葉が広まってきた背景には、シェアリングエコノミーを活用したビジネスが注目されていることがあります。フリーランスエンジニアも、シェアリングエコノミーに関する案件に参画する可能性があるため、概要や将来性について理解しておきましょう。

シェアリングエコノミーとは

最初にシェアリングエコノミーとは、どのような考え方にあるのか、基本知識を習得しておきましょう。

シェアリングエコノミーの概要

冒頭でも触れたとおり、シェアリングエコノミーは、個人が保有する資産を提供したり共有したりすることです。また、これらをビジネスとして営むことを指す場合もあります。

従来のビジネスモデルとは異なり、企業以外がモノやサービスを提供できるようになりました。今まではBtoCやBtoBのビジネスモデルが当たり前でしたが、シェアリングエコノミーにおいてはCtoCのビジネスモデルも採用されています。

ただ、個人間で取引するためには、プラットフォームが必要です。このプラットフォームを提供するために、いくつものサービスが提供されています。例えば「メルカリ」などのフリマサイトは、代表的なサービスです。プラットフォームがなければ、シェアリングエコノミーは活発化しないため、企業はここに乗り込んでいます。

シェアリングエコノミーの市場規模

シェアリングエコノミーの市場動向については、シェアリングエコノミー協会が調査結果を発表しています。2021年の市場規模は、過去最高の2兆4,198億円です。以前の調査と比較してみると、市場規模は大きく伸びていることが確認できます。

また、こちらの資料ではこれからの市場規模について予測されていて、2030年では14兆2,799億円まで増加する見込みです。現時点でも、十分に大きな市場規模ではありますが、これからさらに高まると予想されます。しかも急激な増加が見込まれ、これからの社会は大きく変化していくでしょう。

シェアリングエコノミーがここまで普及する背景には、スマートフォンの普及があるとされています。現在は、個人が簡単にモノやサービスを提供したり、逆に求めたりできるためシェアリングエコノミーが活発化しているのです。

シェアリングエコノミーの具体例


シェアリングエコノミーは、幅広いものやサービスの提供が可能です。そのため、現時点でもいくつものサービスが提供されています。

モノのシェア

個人や企業が保有している「モノ」を、共有して利用するビジネスモデルが成り立っています。上記で紹介した、メルカリのような商品販売もこの一種です。また、近年はカーシェアが活用されていて、これもシェアリングエコノミーの一種と考えられます。

モノのシェアにおいては、個人が提供する場合と企業が提供する場合の両方がある状況です。例えばカーシェアについては、個人が保有する自動車を貸し出すサービスが存在しています。それに対して、企業が大量に保有している自動車を、時間単位で貸し出すサービスも存在します。また、取引先も個人と法人を問わない状況です。

ただ、ここで注目したいのは、個人からのシェアができるようになっている点です。今までは法人から与えられるケースが大半でしたが、シェアリングエコノミーの発展とともに、個人から提供されることも増えています。

能力のシェア

個人や法人が保有する能力をシェアするサービスが存在します。何かしら「モノ」をシェアするのではなく「サービス」をシェアしていると考えるようにしましょう。

例えば、クラウドソーシングサービスでは、個人や法人がサービスを提供しています。常時雇用関係にあるのではなく、多くのクライアントが必要な時に利用できるようになっているのです。このようなプラットフォームや環境は、シェアリングエコノミーが成り立っているといえるでしょう。

サービスの提供については、需要と供給さえ成立すれば、能力の幅に制限はありません。近年はIT業界の人材が求められることもあれば、YouTubeへの動画投稿を支援できる人材が必要とされることもあります。マーケティングやデータ入力、パワーポイントの資料作成など多岐に渡るため、多くの人が活躍できる状況です。

金銭のシェア(支援)

近年は金銭的なシェアも注目されています。シェアと表現すると不自然な部分がありますが、クラウドファンディングなどの支援が該当すると考えましょう。

今まで、何かしらのために資金調達する際は、金融機関に依頼することが大半でした。事業計画などを立てて審査してもらい、融資を受けることで前に進めたのです。前衛的な考え方など、リスクが大きいものに対しては、融資してくれないこともありました。

しかし、クラウドファンディングサービスなどが生まれ、日本中の人から金銭を「シェア」してもらえるようになっています。金融機関では資金調達できないようなことでも、賛同してくれる人がいれば、資源調達できるようになったのです。

また、支援する側も、身近では見つからない投資先を発見できるようになっています。金銭的なシェアによって、一定のリターンが期待できるため、運用先が増えたという点でも大きなメリットがあるのです。

複合サービスのシェア

単独のモノや能力、サービスだけではなく、複合したものがシェアされることもあります。いくつかのものが同時にシェアされることで、さらに価値や効率を高められるようになっているのです。

例えば、フードデリバリーサービス各種は、シェアリングエコノミーに該当します。配達員として時間をシェアする人、飲食店としてモノや場所をシェアする人、注文する人の複数が関与しているからです。それぞれにメリットがあり、世の中のモノをシェアする恩恵を受けられるようになっています。

これは一例であり、仕事のマッチングサービスや民泊の検索サービスなども存在しています。これらも、複数の要素を複合して提供するシェアリングエコノミーと考えてよいでしょう。

シェアリングエコノミーが注目される背景

上記で解説したとおり、さまざまな形でシェアリングエコノミーが広がっています。続いては、なぜこのようなビジネスモデルが、世界的に広がっているのか解説します。

「所有しない」という価値観

シェアリングエコノミーが注目されている大きな要因として、人々が「自分で所有する」というこだわりが下がっていることが考えられます。特に日本は、高度成長期において「必要なものを所有する」という価値観が根付いていましたが、現在では変化しているのです。

日本に注目すると、今までの所有する価値観から自分では所有しないという価値観に変化しています。これには金銭的な理由や産業の発展などが影響しているでしょう。例えば、収入が下がってしまい「自分で所有しなくても良い」と考えることや「自分で保有していてもステータスではない」と考えるなどです。

世界的に見ても、エコロジーやサスティナビリティの考え方が普及しています。これが影響し、自分だけで保有するのではなく「必要な時に物やサービスを提供してもらいたい」という価値観が浸透しつつあるのです。

社会情勢へ柔軟に対応

シェアリングエコノミーのように、モノやサービスを共有すれば、社会情勢の変化へ柔軟に対応できます。自分で所有してしまうと、何らかの制約を受けやすいですが、シェアリングエコノミーを活用すればこの制約がありません。

例えば、自動車を保有してしまうと、自動車税が課されます。今後、自動車税が急激に高まってしまった際に、自動車を保有していると柔軟な対応ができません。しかし、カーシェアを利用していれば、このような問題の影響を受けないのです。

自分自身で所有しないことで、世界情勢の変化に対応できます。また、未知の要素に対して、リスクヘッジができているとも言い換えられるでしょう。

市場規模を踏まえたエンジニアへの影響


上記のとおり、シェアリングエコノミーの市場規模は拡大し、社会に大きな影響を与えています。また、社会に与える影響は、エンジニアにも影響すると考えられるのです。

例えば、シェアリングエコノミーの拡大によって、今まで以上にプラットホームが必要になるでしょう。このようなプラットフォーム開発には、プログラマーやエンジニアが必須です。新しい「シェア」が登場する際には、これらの人々が多数動かなければなりません。

また、既存のサービスについても、改良が繰り返されるはずです。競合他社に負けないサービスを提供する必要があり、これを下支えするエンジニアの需要はさらに高まります。

なお、エンジニアの中でも、需要には偏りがあると推測されます。例えば、利用者の増加によって、インフラ系のエンジニアは求められやすくなるでしょう。しかし、データベースなどミドルウェアのエンジニアは、大きく変化しないと予想します。幅広い意味でエンジニアに影響を与えますが、すべてのエンジニアに影響するとは限りません。

シェアリングエコノミーの将来性

冒頭でも解説したとおり、シェアリングエコノミーの市場規模は今後も拡大すると予想されています。2023年までの予想で大きく拡大し、そのあともさらに拡大するでしょう。そのような意味合いで、シェアリングエコノミーの将来性は非常に明るいと考えられます。

また、シェアリングエコノミー市場の将来性が明るいため、エンジニアの将来性も明るいでしょう。どのような役割でシェアリングエコノミーに関与するかによりますが、上記でも触れたとおり、システムの開発などに影響があります。シェアリングエコノミーに関するシステムが多く開発されるようになり、この分野を扱うエンジニアの将来性が明るくなるのです。

とはいえ、シェアリングエコノミーのビジネスモデルは確立されつつあり、必要とされるシステムやアプリケーションも固定されつつあります。このような状況が続くと、システム開発に関するナレッジが蓄積され、求められるエンジニアに変化が出るかもしれません。今まで以上に、効率よくシステムを開発できるようになるからです。

まとめ

シェアリングエコノミーの概要から、エンジニアに与える影響を解説しました。これからは個人が所有するのではなく「シェア」する時代です。日本に限らず、世界的にこの傾向が強まっていくと考えましょう。

このようなシェアリングエコノミーを加速させるためには、シェアするためのプラットフォームが必要です。そのため、これらの開発や運用に、今まで以上のエンジニアが求められるようになると予想されます。

また、シェアリングエコノミーが広がると、エンジニア自体がシェアされるかもしれません。こうなると、エンジニアの働き方が大きく変化する可能性もあります。

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admin