今さら聞けない!VR、AR、MRの違いについて解説!

今さら聞けない!VR、AR、MRの違いについて解説!

仮想化の技術はいくつも開発され、それらの中にはVR、AR、MRと呼ばれるものがあります。現実と仮想的な技術を組み合わせたもので、似たようなキーワードですが、それぞれ異なった意味を持つものです。

キーワードが似ていることから「どれがどのような意味なのか理解できていない」という人も多く見られます。今回はVR、AR、MRの意味からそれぞれの違いまで、それぞれ解説します。

VR・AR・MRとは


最初にVR・AR・MRとはどのような仕組みであるのか概要と例を解説します。

VRの概要

仮想現実(VR:Virtual Reality)は、ユーザーが没入感のある環境やインタラクティブな体験によって、現実世界とは異なる疑似的な世界を体感できる技術です。コンピューターが生成する立体的な映像や音響、触覚フィードバックを活用して、仮想空間での自由な動きや操作を楽しみます。例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や特殊なコントローラー、センサー類など、専用のハードウェアを利用した体験です。

また、VRはさまざまな産業や分野で活用されています。例えば、ゲームやエンターテイメント分野では、よりリアルな体験ができるゲームなどに活用されている状況です。他にも、教育やトレーニング分野では、実際の現場に近い環境でスキルを習得できるようなサービスが提供されています。これら以外にもVRは活用されていて、新型コロナウイルスの影響もあり、多くの需要が見受けられます。

ただ、VRにはいくつかの課題があるため注意しなければなりません。例えば、長時間の使用による酔いや目の疲れ、体の負担などが懸念されています。また、VRに必要なハードウェアが高価であり、一般的なユーザーにとっては購入にハードルがあるでしょう。技術の進歩により、より手軽で快適なVRが実現できるかもしれませんが、現時点では課題があります。

ARの概要

拡張現実(AR:Augmented Reality)は、現実世界にデジタル情報やオブジェクトを重ね合わせる技術です。ARは、現実環境を変更せず、その上にコンピュータが生成するデータやグラフィックスを追加します。これに加えて、ユーザーの現実感を向上させることを実現するものです。ARは、スマートフォンやタブレット、専用のヘッドセットなど、さまざまなデバイスを通じて実現されます。

ARは多様な分野で応用されており、その活用範囲は日々広がっています。例えば、スマートフォンを使ったナビゲーションでは、ARを用いて道路上に直接ルート案内を表示できるようになりました。これにより、直感的なナビゲーションを実現してくれます。また、教育やトレーニング分野では、現実の物体にデジタル情報を重ねることで、理解を深めるための視覚的な情報を追加可能です。これら以外にも、医療、建築、広告、ゲームなど、幅広い分野でAR技術が活用されています。

ARにも、まだまだ解決すべき課題が存在します。例えば、正確な位置認識や追跡、デジタル情報と現実世界のスムーズなやりとりなどには技術的な課題がある状況です。また、プライバシーやデータのセキュリティに関する懸念も指摘されています。

MRの概要

複合現実(MR:Mixed Reality)は、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)の技術を組み合わせたもので、現実世界と仮想世界が混在する環境を創出するものです。現実世界の物体とデジタル生成のオブジェクトが相互作用できるように設計されているため、ユーザーは現実と仮想の境界を超えた体験ができます。MR技術は、専用のヘッドセットやデバイスを用いて実現されます。

比較的、新しい技術ではありますが、幅広い分野で利用されるようになってきました。例えば、建築分野では、現実の建物やインフラに仮想の設計図やデータを重ね合わせ、設計や改修のプロセスが効率化しています。また、医療分野では、患者の体内にデジタル情報を重ねることで、より正確な手術や診断ができるとされているのです。

とはいえ、VRにもARにも課題があるため、MRも多くの課題を抱えている状況です。技術的な課題を解決する必要があり、課題の数はVRやARよりも多くなっています。これらを乗り越えなければ、MRを実用的なものにすることは難しいでしょう。非常に興味深い技術ではありますが、課題が多く、普及の障壁となっています。

VR、AR、MRの主な違い


上記ではVR・AR・MRの基本的な知識について解説しました。それらの内容を踏まえて、続いてはこれらの違いについても解説します。

現実感

VR・AR・MRでは、実現できる空間に大きな違いがあります。大まかに羅列すると以下のとおりです。

  • VR:完全に仮想的な空間での体験
  • AR:現実世界にデジタル情報を追加・重ね合わせる体験
  • MR:現実と仮想の世界が相互作用し、シームレスに統合される体験

大きな違いとして、「完全な仮想空間」であるのか「現実世界との組み合わせ」であるのかという点があります。VRは現実世界から離れ、仮想的な空間でのみ過ごす技術です。それに対してARやMRは現実世界と組み合わせられています。これらの違いは、VR・AR・MRの違いを理解するにあたり、最も重要であるといっても過言ではありません。

ただ、VRだけでは特筆すべきものですが、ARとMRは似たような部分があるでしょう。どちらも、現実世界を活用したものであり、VRとは一線を画すものです。以下でも説明しますが、必要なハードウェアにも違いがあります。このハードウェアの違いも、現実感の違いを生み出しているのです。

必要なハードウェア

VR・AR・MRは、それぞれ利用時のハードウェアが異なっています。状況によって異なりますが、大まかには以下が利用されます。

  • VR:ヘッドマウントディスプレイ(HMD)・専用コントローラー・センサーなど
  • AR:スマートフォン・タブレット・専用のヘッドセットなど
  • MR:高度なセンサーとディスプレイを備えた専用のヘッドセット

VRは仮想世界に没頭する必要があるため、ヘッドマウントディスプレイが利用されます。ただ、ヘッドマウントディスプレイはメガネやヘルメットのように着用するディスプレイ全般を指し、VRではそれらの中でも「没入型」が利用されるケースが多いです。こちらは、外界が遮断されるように設計されたもので、VR空間だけが視界に入ります。

それに対して、ARではこのようなヘッドマウントディスプレイは必要ありません。スマートフォンやタブレットに仮想的な情報を表示させるため、個別のディスプレイが求められないのです。この点は、VRとARの大きな違いと考えましょう。ヘッドセットを利用することもありますが、ARとしては必須ではなく、ここもVRと異なります。

なお、MRはVRとARを組み合わせたものであることから、専用のヘッドセットが必要です。ヘッドセットが必要となる点ではVRと同じですが、ARの要素も必要とされます。そのため、ヘッドセットに求められる性能が異なり、VRと同じものは利用できません。機能が異なることから、価格帯にも違いがあるため注意しておきましょう。

応用分野

VR・AR・MRは、応用されている分野にも違いがあります。それぞれに特徴があるため、例えば以下の分野で活用されています。

  • VR:ゲーム・エンターテイメント・教育・トレーニング・観光など
  • AR:ナビゲーション・教育・小売・広告・ゲームなど
  • MR:デザイン・プロトタイピング・産業用トレーニング・医療シミュレーションなど

VRは完全な仮想空間であることから、現実では実現が難しいことに利用される傾向があります。例えば、現実的には難しいことをVR化して、それをゲームにするのです。トップアスリートを体験できるゲームなどがこれに該当します。また、このような特徴を活かして、教育やトレーニングにも利用される状況です。また、新型コロナウイルスの影響により、擬似的な観光にも利用されました。

それに対して、ARは現実世界の拡張であるため、現実的に役立つことに利用される傾向があります。特に、目的地までのナビゲーションなどに利用されることが多いようです。また、商品の情報を表示したり、広告を表示するなどの活用も見受けられます。情報を追加することで付加価値を与えられる業界に、ARが広がっているのです。

ただ、MRは大きく異なった特徴を持つことから、VRやARとは違った分野で活用されています。例えば、デザインを実装するまでに当てはめるような用途やプロトタイプの作成、現実的には難しいトレーニングなどです。VRとARの組み合わせであること以上に、ハードウェアに違いがあるため、これがネックになっています。

没入感やインタラクション

利用するハードウェアの違いから、没入感やインタラクションにも大きな違いがあります。これらについても、まとめると以下のとおりです。

  • VR:高度な没入感が特徴で・仮想世界とのインタラクションが可能
  • AR:現実世界をベースにデジタル情報を追加するため・現実感が保たれつつ情報提供が行われる
  • MR:現実と仮想が相互作用し・現実世界のオブジェクトと仮想オブジェクトが互いに影響を与える

没入感やインタラクションは、利用するハードウェアの違いに依存する部分が多くあります。例えば、VRでは没入型のハードウェアを利用するため、仮想世界が目の前にあるかのように体験できるのです。また、仮想世界での行為に対してインタラクションが示されます。

ARやMRはVRとは違い、現実世界がベースになっています。そのため、VRのような没入感はないと考えて良いでしょう。特にARはヘッドマウントディスプレイを利用しないため、没入感を感じることはないはずです。MRについても、現実世界をベースにしているため、VRとは大きな違いがあります。

ただ、MRはVRの要素を持っているため、現実世界と仮想世界のインタラクションが特徴です。現実世界で操作した内容を踏まえて、仮想世界に影響が生じます。

技術的課題

最後に、これら仮想化において、どのような技術的な課題があるのかについても解説します。

  • VR:酔いや目の疲れ・体の負担・ハードウェアのコストなど
  • AR:位置認識の正確性・デジタル情報と現実世界のシームレスな統合・プライバシーとセキュリティ問題など
  • MR:高度なセンサー技術の開発・現実と仮想の相互作用の向上・専用ハードウェアの普及とコスト削減など

VRには大きな技術的な課題があるとされていて、人体に与える影響がその大半です。例えば、目の疲れや体への負担が問題視されていて、これらを解決する方法はありません。長時間VRを利用すると、現実世界の生活に影響を与えてしまうことも実験などで示されています。

また、どの仮想技術においても、「正確性」という部分で課題がある状況です。ARは完璧な位置認識が難しく、現実世界と仮想世界の重ね合わせに問題が生じかねません。やむを得ない部分はありますが、可能ならば解決してもらいたい課題でしょう。

他にも、ハードウェアの高額さが問題視されている状況です。これから、VR、AR、MRが普及すればハードウェアは安価になると考えられますが、現時点では需要と供給のバランスから高額になっています。

まとめ

VR、AR、MRの概要と違いについて解説しました。これらは勘違いされやすい要素を含みますが、それぞれ、大きく違いのある技術です。今回の解説内容を踏まえて、適切な理解を持つようにしましょう。

なお、それぞれ違いのある技術ではありますが、まったく異なるものではありません。共通する技術や要素も含まれています。同じ部分と違う部分をそれぞれ認識することが重要です。

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admin