Kubernetesとは?需要と今後の将来性を解説
KubernetesはLinuxのコンテナを自動的に操作するオープンソースソフトウェアです。Linuxではコンテナを利用する機会が多いため、これを自動化できるものとしてKubernetesは注目を集めている状況です。
ただ、そもそもLinuxのコンテナ化は難しい概念であり、それに加えて自動化が絡むとさらに難しくなっています。また、それらを実現するためのKubernetesもやや難しいものとなっています。今回はこれから活用が期待されるKubernetesについて、どのようなオープンソースソフトウェアであるのかご説明します。
この記事の目次
Kubernetesで押さえておきたい基礎知識
Kubernetesを利用するためには基本知識を身に付けることが重要です。この点が理解できていなければ、どのようにKubernetesを利用するのかイメージはできないでしょう。
そもそもコンテナによる仮想化とは
Kubernetesを理解するためにはコンテナによる仮想化について理解しておく必要があります。まずはここの理解を深めておきましょう。
そもそも、コンテナは今までの仮想化を進化させた技術です。今でも仮想化の技術は多くの環境で利用されていますが、それに代わる新しい技術としてコンテナは生まれています。
具体的に今までの仮想化と変化した部分は、複数のサーバーなどを構築する仕組みです。今まで主流であったのは仮想化を利用した「仮想マシン」でしたが、コンテナでは仮想マシンではなく「コンテナ」と呼ばれるものを生み出します。実現できる機能としては仮想マシンと似た部分があるものの、根本的には異なるものです。
コンテナと呼ばれるようになった背景には、貨物のコンテナのように「自由に配置できる」「移転が容易にできる」などの特徴を持つことが挙げられます。現在は仮想マシンも自由な配置や移転が実現できるようになっていますが、それを新しい技術で実現できるようにしたものがコンテナなのです。
Kubernetesの概要
Kubernetesはコンテナの管理を自動化するためのオープンソースソフトウェアです。コンテナは本来、コンテナ化を実現するソフトウェアを経由して人間が管理する必要があります。しかし、これには手間がかかりヒューマンエラーも発生してしまうため、これを防ぐためにKubernetesのようなソフトウェアが開発されています。一般的には「コンテナオーケストレーションシステム」と呼ばれる傾向にあります。
すでに利用している人も多いはずですが、コンテナは非常に便利な技術です。少ないリソースで様々なアプリケーションを実行できるようになるため、効率の良いサーバー運営ができるようになります。ただ、コンテナはメリットばかりではなく、コンテナの管理や他のサーバーとの連携ができない問題点があります。
そのため、この問題点を解決するために、Kubernetesのようなソフトウェアが開発されています。コンテナのメリットを最大限活かせるように、それをサポートするツールとして生み出されているのです。
日頃からコンテナを活用していない人は、あまりこのメリットが感じられないかもしれません。しかし、コンテナを積極的に活用するようになると、複数のコンテナを一元管理できるメリットは非常に大きいと感じられるはずです。
Kubernetesの仕組み
Kubernetesは複数のコンテナを管理するために「Pod」と呼ばれるものを利用しています。これはKubernetesを活用するにあたり非常に重要な考え方であるため、必ず理解するようにしておきましょう。
Podは複数設置することが可能で、それぞれのPodに複数のコンテナを格納できます。2つ以上のコンテナをまとめて管理できる最小単位がPodだと理解しておいて差し支えありません。KubernetesはこのPodを適切に操作してそれぞれのコンテナを処理していきます。
また、Kubernetesにはノードと呼ばれるものがあり、Podはこのノードの中に格納されています。Podの中に複数のコンテナが格納されていて、この複数のコンテナの塊もノードと呼ばれる塊で管理できるのです。
最終的にノードはクラスタと呼ばれる塊にまとめられます。Kubernetesはこのクラスタやノードを経由してそれぞれのコンテナを制御できるようになっているため、複数のコンテナを自動管理できるという仕組みです。
なお、本来コンテナにはこのような一元管理できる仕組みがありません。ここが問題となりやすいのですが、Kubernetesを導入すれば問題点を解決できるのです。
KubernetesとDockerの違い
Kubernetesを理解するにあたり、必ず知っておいてもらいたいのがDockerの存在です。コンテナ技術において必ず出てくるキーワードであるため、確実に押さえておかなければなりません。
DockerはKubernetesとは異なり、アプリケーションをコンテナ化する技術です。仮想化のためにソフトウェアを用意するように、コンテナ化のためにはDockerが必要です。あくまでもアプリケーションをコンテナで動作させるもので、Kubernetesのようにコンテナを一元管理するものではありません。
Kubernetesはあくまでもコンテナの管理を主な目的としているため、ここで直接的にアプリケーションが動作することはありません。Dockerなどを利用して作成されたコンテナを操作することが目的です。アプリケーションが実際に動く環境か、コンテナを自動管理する環境かは大きな違いであるため、必ず正しい理解を保つようにしましょう。
関連記事:Docker|コンテナ型仮想化技術についての解説!需要、今後の将来性と合わせてチェック!
Kubernetesの基本機能
Kubernetesがどのような役割であるのか理解してもらえたでしょう。続いてはKubernetesの基本機能についてご説明します。
自動スケーリング
Kubernetesの機能で特に注目しておいてもらいたいのは、コンテナの自動スケーリングです。スケーリングはコンテナ以外でも利用されるキーワードで、負荷など状況に応じてメモリーやCPUのリソース割り当てを変化させることを指します。
現在は仮想マシンでも自動スケーリングが導入されています。特にAWSなどのクラウド環境では、簡単な設定でスケーリングが可能であり、局所的な負荷にも耐えやすい設計が推奨されています。
今までコンテナではこのような自動スケーリングは難しいものでした。コンテナを管理する技術がなかったため、どうしても最初に割り当てたリソースから変更しにくかったのです。
しかし、Kubernetesならば数秒程度で自動スケーリングを実現します。今までコンテナでは難しかった機能を簡単に実現できるようになっています。
自動的な障害からの復旧
スケーリングと似たような機能として、自動的な障害からの復旧があります。スケーリングは負荷に対応するものですが、それ以外にも障害発生に対応できるのです。
Kubernetesでコンテナを管理しておくと、障害発生を自動的に検知できます。また、障害発生時は自動的にコンテナを再起動するように設計されています。自分でコンテナの再起動について設定する必要はなく、Kubernetesを利用しているとそれだけで自動的に再起動されるのです。
そのため、Kubernetesでコンテナを管理しておくと障害の発生についてはあまり意識しておく必要がありません。本来はコンテナの再起動方法について検討しておくべきですが、Kubernetesではそれが自動化されるため人間が対応する必要がなくなります。障害という急を要するタイミングでも、Kubernetesならば自動的にスムーズな対応をしてくれます。
リソース管理
自動スケーリングに対応しているため、その情報を利用してリソース管理が可能です。コンテナのリソース状態やプロセス監視が行われているため、リソースによる障害などが発生した場合は運用担当者などに通知ができます。
基本的にはKubernetesでリソースの割り当てなどが自動化できるため、直接的な障害は起きないようになっています。リソースが必要となればサーバーからリソースを割り当て、問題なく動作するように制御するのです。
ただ、サーバーが持つリソースを多くのコンテナが食い尽くしてしまうことが考えられます。割り当てるリソースがなくなってしまっては、Kubernetesを利用してもリソースの問題を解決できません。そのような状況にならないように、Kubernetesはリソースを監視して事前に定めた閾値に抵触するとアラートを発報するなどの仕組みを実装できます。
Kubernetesはこれからの需要に期待できる
Kubernetesについてよく理解してもらえたはずです。続いて、Kubernetesはこれからの需要に期待できるのかをご説明します。
コンテナ化は注目され需要が高まってきている
少しずつではありますが、コンテナ化は注目され、需要が高まっています。まだまだ需要が高いと言い切れる状況ではありませんが、需要が高まっている状況が確実に感じられます。
例えば、クラウドサービス大手のAWSでは、コンテナに関するサービスを近年いくつもリリースしています。提供されているサービスの内容は充実し、種類は増えていますので、世界的にコンテナが注目されていることの裏付けとなるでしょう。
また、案件の詳細などを見てもコンテナに関する知見を求めるものが増えてきています。エンジニア目線ではなくクライアント目線でもコンテナは注目されているのです。
そのようにコンテナが注目されてきているため、コンテナを管理するKubernetesの需要は自然と高まっています。AWSなど独自にコンテナを管理するツールを提供している場合は別として、基本的にはコンテナを管理するツールとしてKubernetesが選択されているからです。
現在の需要で一喜一憂しない
コンテナは広がりを見せている途中であるため、案件数は増減が激しい状況です。クライアントによってコンテナを利用するかどうかの方向性が大きく異なり、コンテナを利用する案件が少なくなる時期があるのです。コンテナの需要の変化により、Kubernetesの需要も変化してしまう状況です。
そのような状況であるため、現在の需要だけで一喜一憂しないように注意しておきましょう。Kubernetesは将来的にコンテナが普及すると一気に需要が高まりますので、今すぐにKubernetesだけで稼ごうと考えるのはよくありません。
コンテナ化は注目されKubernetesの将来性も明るい
コンテナ化が注目されているため、Kubernetesの将来性も明るいと考えられます。続いてはこの点についてご説明します。
これからコンテナ化が広がり将来性は明るくなる
まだコンテナ化は難しく、仮想化ほど普及していない状況です。ただ、コンテナのメリットを踏まえると需要は高まり、これから伸びていくと思われます。そのため、コンテナを管理するKubernetesは将来性の明るいツールです。
特に理解しておいてもらいたいのは、コンテナを管理するKubernetesのようなツールはあまり存在しないことです。多くのツールが存在しているとそれぞれが独自の機能を持つようになり需要が分散しますが、今のところKubernetesに似たツールはあまりなく、そのような傾向を見られません。Kubernetesのスキルが身につけておくと単純にコンテナの世界で活躍できるエンジニアとなります。
まだまだ仮想マシンが中心であるため、どのタイミングでコンテナが普及するかの判断は難しい状況です。仮想マシンからコンテナに切り替えるのにはコストが必要となるため、短期的にいきなり需要が高まるというわけではありません。
ただ、クラウドサービスなどでもコンテナ化に力を入れていて、Kubernetesはこれから人気となるのは間違いありません。需要の高まりとともに将来性が明るくなるときを待ちましょう。
早い段階での習得がおすすめ
Kubernetesはすでにコンテナを利用している人には人気のツールです。コンテナの利用には必須とも言える状況になってきていますので、Kubernetesの使い方について習得している人はいるでしょう。
ただ、そもそもコンテナを利用している人は仮想マシンと比較すると少ない状況です。そのため、将来性を見越して早い段階でKubernetesを習得しておくべきです。「コンテナが普及してから学習しよう」と考えていると、すでにKubernetesのスキルを習得しているエンジニアに追いつかなくなってしまいます。
Kubernetesは無料で利用できるため、将来性を見越してスキルを習得するのに費用がかかりません。スキルアップだけに時間を割く必要はありませんが、隙間時間を活かすなどしてできるだけ早くKubernetesを習得しておくと良いでしょう。
まとめ
Kubernetesはコンテナを管理するためのソフトウェア・ツールです。コンテナだけでは自動管理・一元管理ができないため、Kubernetesのようなツールが重要となるのです。
ただ、今のところコンテナはまだ仮想マシンほど普及していません。そのため、Kubernetesを含めてコンテナの技術はこれからの需要や将来性に期待する状況です。AWSなど主要なクラウドでのサービス提供が進み確実に需要は高まっていますが、今すぐにKubernetesが活用できる現場は少ないでしょう。